幼馴染み 29話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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2日ぶりに学校へ行ったら、井上君が駆け寄ってきた。


…。何で私につきまとうかな。


「どうしたんだよ。2日も休んで。」


「熱があったから休んだだけ。」


「ホントか?本当は『あれ』の日だったんじゃないのか?」


「…。男子って本当低レベルな事言うのね。どいて、邪魔だから。」


これからもこんな事言われるんだろうな。…。転校どうしよう。


でも山田先生から色々教えてもらいたいし。


ホームルームが始まって出席を取ってたら、2日ぶりに私が学校に来てたからかもしれない、


山田先生が嬉しそうに、


「おっ、大原今日は来れたか。」


って言ってくれた。


「はい。」


やっぱり山田先生好きだな。ちょっと変わってるけど。


「さっきお母さんからお電話があって今日の体育は見学だそうだ。」


「…。わかりました。」


今日の体育は確かバスケだったと思う。バスケをした所で男子に勝てるとは思ってないけど


参加はしたかったな。


体育に参加出来ないってわかった途端に今日の学校が面白くなくなってきた。


あ…。でも正也達に頼まれた事、山田先生に相談しなきゃ。


ホームルームが終わって、山田先生が職員室に行こうとした時に


私は昨日作ったレポートを持って山田先生に駆け寄った。


「山田先生!」


「どうした?」


「これ…。他校の友達に頼まれたんですけど、分らない事とか試験に出そうな事とかあったら


教えて頂けますか?」


山田先生は私の作ったレポートを見て感心した様に、


「よくここまで調べたな。」


「だって、前にも言いましたよね。私、日本史好きだって。でも試験にはどんなのが出るかわかんなくて。」


「放課後までには返すよ。これ預かるな。」


「はい。」


これで正也達の借りは一つ増えた訳だ。


だからって何かをしてもらおうなんて思ってないけど。


私が席に戻ると、また井上君が来て


「大原ってホント、山田先生にべったりだな。何がいいんだよ。」


「私、日本史が好きなのよ。先生の授業は面白いし。」


そんな事よりあんまり私に関わらないで欲しい。


すでにクラスメートの男子は私と井上君が話してるのが当たり前だと思ってみてるし。


これで『付き合ってる』なんて噂まで流れたら困るんだけど。


「なぁ…。今日帰り付き合わねぇ?」


「悪いけど今日も友達ん家。」


私は井上君の顔を見ないで1限目の授業の古文の教科書とかバックから出した。


「そんなにそっちのダチの方がいいのかよ。」


「小学生の時からの付き合いだからね。気が楽なのよ。」


「たまには俺に付き合えよ。」


「昨日の夜に約束しちゃったから。」


…。しつこいな。


「わかったよ。じゃぁ俺もそのダチの家行く。」


「は?」


「大原のダチにも興味あるし。」


おいおい。何言ってんの?でも井上君の中では決めたらしく1人でうなずいて満足してた。


こっちの事情とか考えないのかな。