私がうとうとしてると、お父さんの大きな声が聞こえた。
…。また喧嘩かなぁ。
裸足のままゆっくりとリビングに行くとやっぱり喧嘩してる。
「私は気づかないとでも思ってるんですか?」
「だから、それはお前の誤解だ。」
「じゃぁ、先日出張とおっしゃって、他の女性のお宅に泊まったのはどういう事ですか?」
げっ、本当にお父さん不倫してんの?
お父さんはそれをお母さんに言われると黙っちゃった。
ここで上手く乗り切るのが不倫のマナーでじゃないかなって思う。
男の人って絶対、浮気とか不倫とかするよね。
でもそれするんだったらバレない様にすればいいのに。
ここで私が出ても何の役にも立たないから自分の部屋に戻った。
せっかく寝れそうだったのに目が覚めちゃった。
まぁいいや。今やってる江戸幕府の事でも調べよう。
山田先生、もっと詳しく知ってるだろうし。すごい質問とかしそうだし。
…。何調べよう。あっ、お父さんも浮気してる位だからこないだ聞かれた側室の事でも調べよ。
現代の浮気とあの頃の大奥って浮気のオンパレードだもんね。
そう言えば…。何でだろう。お父さんが浮気してるのを知ってもショックじゃないの。
やっぱり中学の時、あの女の人を見たからかなぁ。
そう想いながらネットでは『江戸幕府』『側室』って検索してた。
側室を取らなかったのって7代将軍の家継と14代将軍の家茂だけなんだ。
この二人は奥さんとラブラブだったのかな。
ラッキーセブン繋がりとか?関係ないか。
大奥って子供を産む為に作られた様なもんだから女ばっかりの所なんだよね。
私だったらそんなとこいられない。うっとうしい。
映画で男女逆転した大奥の話があったけど、男の人が女将軍に頭下げてるのも情けない気がする。
そこまで調べると睡眠薬飲んだからかな?眠くなってきた。
このタイミングを逃すと寝れなくなっちゃう。
明日は学校に行けると思うからさっさと寝ちゃおう。
目覚まし時計が鳴って目を覚ますと昨日よりだいぶんマシな感じ。
「おはよう。」
「おはよう。」
お母さんはいつも早い。…。でも目がなんか赤いみたい。
昨日の喧嘩でまた泣いたのかな?
それでも私は気づかないふりをしてダイニングテーブルに着いた。
「ねぇ、今日は学校行ってもいい?」
「その前に熱。」
機嫌も悪そう…。
体温計で熱を測るともう平熱になってた。
「はい、36.7℃。」
「これぐらいの熱ならいいわよ。」
よかった~。ずっと家に閉じこもってると色んな事考えちゃうから。
「これ、お弁当。」
「ありがとう。」
「今日も妙子さんのお宅に寄るの?」
「うん。でも誰かが送ってくれるから平気。そんなに遅くならない様にするから。」
…。今日は誰が私を送ってくれるんだろう。