私の彼、紹介します 45話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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彰君が辞めて1ヶ月…。


本当にお客様が減った。


田口君に指名を変えて下さったお客様はいたけど、ここまで客数が減るなんて思ってもいなかった。


と、なると必然的に高杉さんの機嫌が悪くなる。


それはイコール私達への八つ当たりにつながる。


だから、辞めていった人も増えてきた。


堺さんは木本さんと結婚しても仕事は続けるつもりだったらしいけど、


結婚式の招待状を目の前で破り捨てられた事もあり、ここのホテルは辞めてしばらく主婦をするらしい。


以前、彰君が言っていた3つの派閥も堺さんがいなくなったっていうのもあるだろうけど


皆、高杉さんについていけなくなって、皆して高杉さんのクレームが出てきた。


正直、私も潮時かなって思い始めた。


この仕事は楽しかったし、前は彰君もいたから安心してたけど、


毎回の様に言ってくる高杉さんの文句にうんざりしてきた。


そんな事を思いながらも今日の仕事はちゃんとこなした。


予約のお客様がいたらちゃんと厨房に報告するのは怠らなかったし、


個室希望の方がいらっしゃったら、その日の個室担当の人にも報告はしていた。


私が受付カウンターで予約のチェックをしていたら、


ガラスの割れる音と高杉さんの怒鳴り声が聞こえてきた。


「グラス一つも磨けないのか!だったら辞めてしまえ!」


私が最初にした仕事のシルバー磨きやグラス磨きが気に入らなかったみたい。


教育係りの田口君でさえ何も言えてなかった。


きっと彰君だったら高杉さんに一言、言ってたと思うけど。


(あの子も辞めるのかなぁ)


高杉さんに怒られてる高校卒業したてらしい男の子が黙って握りこぶしを作ってた。


混乱はその後に起こった。