私の彼、紹介します 41話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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送別会では彰君が飲めないのにドンドン飲まされてた。


カクテル一杯だけでも顔が真っ赤になっちゃうのに。


大丈夫かなぁ。


「お前に辞められたら、個室の顧客が減りそう。」


「柳沢はうちではトップレベルのウェイターだったからなぁ。」


「新人教育もうまかったし。まぁそれで大久保さんと付き合ってるんだけどね。」


私は真っ赤になってうつむいてしまった。


橋本さんはさっきから黙ってる。


チラリと彼女の方を見たけれど、なんだかにらまれてるみたい…。


そりゃそうよね。


自分が好きな人にすでに私という彼女がいるんだもん。


おもしろくないに決まってる。


こういう大人しい子に限って怖いんだよね。


そんな事を考えてたら木本さんが皆を驚かせる事を発表した。


「僕、木本 正樹と堺 順子はこの度結婚する事になりました~。」


皆が一斉に、


「えぇ~!!」


と声を上げてしまった。


だってホテルで働いてる時、全然付き合ってる感じがしなかったもん。


堺さんは、木本さんの袖を握って、


「何も今言う事じゃないでしょ。今日は柳沢君の送別会なんだから。」


「だって、メンバーがほぼ全員集まる機会なんてないだろ。」


木本さんは堺さんを立ち上がらせると、堺さんの左手を持って私達に見せた。


「じゃ~ん。婚約指輪です。」


確かに堺さんの左手にはダイヤの指輪がしてあった。


堺さんは木本さんの手を振りほどくと、


「だからだったのね。今日指輪して来いって言ったのは。」


「そうそう。」


木本さんは嬉しそうだったけど、堺さんはムッとした顔をしていた。


本当にこの二人が結婚しても大丈夫なのかなぁ…。


そう言えば私も彰君に、


『結婚資金にもなるから』


って、言われたんだっけ。