私の彼、紹介します 42話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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彰君が辞めてから個室をご利用されるお客さまが一気に減った。


覚悟してた事だけど、やっぱり彰君はこのホテルに必要な人だったんだって思い知らさせられた。


電話で予約の受付をする時も、


「今回も柳沢さんでお願いします。」


「申し訳ありません。柳沢は退社致しました。」


「えっ、そうなの?じゃぁ…、どうしようかしら。」


「田口という者がいますが、柳沢と同じくらいお客様にご評価を頂いてますので、


田口を担当に致しましょうか。柳沢とは違ったご案内出来ると思います。」


「う~ん。私は柳沢さんが気にいってそちらのレストランに行ってたけどねぇ…。


まぁいいわ。その田口さんにお料理とか運んで頂こうかしら。」


こんな反応だったらまだマシだった。


ほとんどのお客様が彰君が辞めたのを聞いて、今いるレストランの事を聞きたがった。


予約リストにはばつの印がいっぱいだった。


彰君が辞めたから行かないというお客様がほとんどだった。


売上が減って高杉さんはさらに機嫌が悪くなった。


それは私達に八つ当たりするまでに至って、


「客単価が減ってる。お前らやる気あるのか。」


「今まで柳沢に甘えてたんじゃないのか?」


とか、挙げたら切りがなかった。


皆の反応は、


「俺達は俺達なりに接客してんのにな。」


「お客様が減ったのはしょうがないでど、私達に八つ当たりしないで欲しいわ。」


特に堺さんと大木さんが文句を言っていた。


二人共ここが長いから、そう思ったのかもしれない。


ふと、堺さんの手を見ると結婚指輪がない。


彰君が退社してから二人は結婚式を挙げた。


うちのホテルで結婚式をすると社割が利いて安く結婚式が出来るかららしい。


私達は全員が出席したらお店が困るから、最初にファミレスで話してくれた


「堺派」の人だけ呼んだみたい。


高杉さんも招待状を渡したらしいけど、


「俺にそんなひまはない」って


堺さんの目の前でその招待状を破り捨てた。


何も本人の前でそんな事しなくてもいいのに…。