Tomorrow is another day 第2章 始めからの方はこちらから
「だけど、変だよね。」
「何が?」
「だって、僕達ってさ麻子さんの事ではライバルだったわけでしょ?」
「う~ん。そうね。」
「それがどうして、こんなに僕は彼の心配をしてるんだろう。」
「それは、さっき私も思ってたの?」
「さっきって?」
「中島さんの部屋をあなた達が掃除してる時。」
優人は手に持っていたワイングラスを揺らすと、言葉を選びながら話した。
「そうだね。最初は確かに嫌な人だなぁって思っていたよ。でもね、麻子さんを想っている気持ちは
僕と変わらないぐらい同じっていうのは解ってきたし、彼の奧さん・・・元奧さんのやり方も
汚いなぁて思っちゃって。なんだか『仲間』っていうか『親友』っていうか、『同士』の様な感じが
してきたんだよね。やっぱり変かなぁ。」
じっと話を聞いてきた麻子は、首を振ると
「ううん、いいと思う。これから、優人さんが私だけじゃなくて、中島さんの支えになれたらいいね。」
「うん。」
そんな話を二人でしていた頃、中島はウィスキーをストレートで飲んでいた。
テーブルには退院した時に出された、睡眠薬と精神安定剤があった。
それを手にすると薬を一錠ずつ出していく。
全部で6錠だった。それをウィスキーで飲もうとする。
その時、麻子が言っていた言葉を思い出した。
『睡眠薬をアルコールで飲むなんて論外よ。』
ウィスキーを持っていた手を休め、テーブルに置くとキッチンに行って水を汲む。
そして水で薬を飲んだ。
「これでいいんだよな。またあいつらに迷惑かける事になるから。」
一人、ポツリとつぶやいた。
二週間後には入院して以来、初めての出勤になる。
自分で大丈夫か不安だった。