Tomorrow is another day 第2章 66話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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「だけど、変だよね。」


「何が?」


「だって、僕達ってさ麻子さんの事ではライバルだったわけでしょ?」


「う~ん。そうね。」


「それがどうして、こんなに僕は彼の心配をしてるんだろう。」


「それは、さっき私も思ってたの?」


「さっきって?」


「中島さんの部屋をあなた達が掃除してる時。」


優人は手に持っていたワイングラスを揺らすと、言葉を選びながら話した。


「そうだね。最初は確かに嫌な人だなぁって思っていたよ。でもね、麻子さんを想っている気持ちは


僕と変わらないぐらい同じっていうのは解ってきたし、彼の奧さん・・・元奧さんのやり方も


汚いなぁて思っちゃって。なんだか『仲間』っていうか『親友』っていうか、『同士』の様な感じが


してきたんだよね。やっぱり変かなぁ。」


じっと話を聞いてきた麻子は、首を振ると


「ううん、いいと思う。これから、優人さんが私だけじゃなくて、中島さんの支えになれたらいいね。」


「うん。」



そんな話を二人でしていた頃、中島はウィスキーをストレートで飲んでいた。


テーブルには退院した時に出された、睡眠薬と精神安定剤があった。


それを手にすると薬を一錠ずつ出していく。


全部で6錠だった。それをウィスキーで飲もうとする。


その時、麻子が言っていた言葉を思い出した。


『睡眠薬をアルコールで飲むなんて論外よ。』


ウィスキーを持っていた手を休め、テーブルに置くとキッチンに行って水を汲む。


そして水で薬を飲んだ。


「これでいいんだよな。またあいつらに迷惑かける事になるから。」


一人、ポツリとつぶやいた。


二週間後には入院して以来、初めての出勤になる。


自分で大丈夫か不安だった。