Tomorrow is another day 第2章 63話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

最初から読む方はこちらから


Tomorrow is another day 第2章 始めからの方はこちらから


1ヶ月もすると中島の病状は良くなり、顔色も良くなってきた。


ただ、麻子は五十嵐医師が言っていた、


『また繰り返すかもしれない』という言葉が気になっていた。


3日に1回はカウンセリングをしていたが、何故あの様な無茶な事をしたかは話したがらなかった。


ただ、優人や麻子が見舞いに行く度に


「早く出してくれよ。飯が不味くてしょうがない。」


と、ばかり言っていた。


麻子が一人で見舞いに行った時、思い切って聞いてみた。


「ねぇ、なんであんなに薬を飲んじゃったの?」


「睡眠薬をバーボンで飲んだのまでは覚えてるんだけど、あとの事は覚えてないんだ。」


「睡眠薬をアルコールで飲んだの?」


「家に飲み物がなかったからな。」


「水道水があるでしょ。水道水が。」


「蛇口から出てくる水は不味くて飲めね~よ。」


「今度はペットボトルの水か、清浄機買うのね。睡眠薬をアルコールで飲むなんて論外だわ。」


「お前だって睡眠薬飲んでるじゃね~か。」


「何で知ってるのよ。」


「山下君に聞いた。結婚したら子供が欲しいから、


睡眠薬なしでも眠れる様にしてやりたいって言ってたぞ。」


「子供の話はともかく、私はちゃんと水で睡眠薬は飲んでるわ。もうダメよ。


アルコールで睡眠薬なんて飲んじゃ。」


「判ってるよ。今回の事で身にしみたから。」


中島はふてくされた様に言った。


帰りに五十嵐医師の元へ寄った。


「先生、中島さん。いつ頃退院出来ますか?」


「う~ん。カウンセリングの報告では、また繰り返す恐れがあるとの事ですからねぇ。


でも、いつまでも入院させておく訳にはいきませんから。


会社へ復帰したら精神状態も落ち着くかもしれませんね。


今度、中島さんと話し合ってもうそろそろ退院の日付を決めましょうか。」


「ありがとうございます。」


「だけど、とても仲が良いんですね。皆さん。ほぼ1日ごとにはお見舞にいらっしゃってますから。」


「三人の間で色々あったんです。」


「そうですか。でもいい傾向かもしれませんよ。ここまで心配してくれる友人がいるというのは。」


麻子は中島は『友人』というジャンルに入るのか疑問に思った。