Tomorrow is another day 第2章 62話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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応接室を出ると、見覚えがある顔を見た。


千夏だった。


(何で千夏さんがここにいるの?)


千夏の方も麻子に気付いたらしく、近づいてきた。


「あなたも来てたの。」


「どうして千夏さんがここにいるんですか?」


「私の母から、中島が入院したって聞いたから様子を見に来たのよ。」


麻子は五十嵐医師が、


『以前の奥様とは会わない方がいい』と言われた事を思い出し、


なんとかして中島に会わせない様考えた。


優人も千夏が麻子と話しているのに気づき、近づいてきた。


「中島さんの前の奥様。前に一回会ってるでしょ?」


「あぁ。覚えてるよ。」


麻子はハンカチをわざと落として拾おうとした。


優人もハンカチを拾おうとする。


二人が、かがんだ時に麻子が、こっそりと優人に告げた。


「先生が言ってたわよね。今、奥様に会わせない方がいいって。」


「判ってる。」


何事もなかった様にハンカチを拾うと、優人がいかにも残念そうに千夏に伝えた。


「せっかく来て頂いたんですが、今中島さんは面会禁止なんです。」


「何?あの人そんなに悪いの?」


「僕達もよくはわかりませんが、お医者様からはまだ面会は許可されてません。」


「そうなの。なによ、わざわざ群馬から来てやったって言うのに。


顔も見れないなら帰るわ。」


そう言うとさっさと病棟から出て行ってしまった。


「よかった。あんまりひつこく聞かれると中島さんにとって良くないもの。」


「でも、さっきあの封筒の事聞けばよかったかな。」


「辞めといた方がいいと思うわよ。また何かされたら困るし。」


「そうだね。」


優人達は自分が何故、ここまで中島に親身になっているかは判らなかったが


心配なのは事実だった。