夕食は何にしようかとスーパーで食品を見ていたら
(そう言えば、優人さん。煮物が好きだったな)
煮物の食材を買って終わりかと思ったら、優人の部屋にはみりんも料理酒もなかったと
思い出して、調味料類も見て回った。
買い物も済ませマンションまで帰ろうとしたら、後ろから声をかけられた。
『彼』だった。まさかこんなところで会うなんて思ってもいなかった。
『彼』の方もびっくりしてたらしい。
お互いにどう話しかけようかと迷っていたら、次は優人から声をかけたられた。
「あっ、麻子さん。ちょうど僕も帰ってきたんだ。ごめんね。夕食の支度を頼んで。」
「…優人さん。」
麻子の反応が遅かったので心配気に、
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない。早く帰ってご飯作らなきゃ。」
二人で帰ろうとしたら『彼』の方から話しかけてきた。
「麻子、久しぶり。元気?」
「…うん。」
『彼』から『麻子』と呼び捨てにしていたので気になったのか
「麻子さん、こちらの方。知り合い?」
「前の職場で同僚だった中島さん。会うのは本当に久しぶりでびっくりしちゃって。」