真里のおかげで、麻子に恋人が出来た事はほとんどの人が知っていた。
その度に、
「付き合い始めてどのくらい?」
「もう同棲してるの?」
「結婚するの?」
「結婚式する時は俺達がバックアップするから。」
もろもろの質問をされて、仕事どころではなかった。
麻子自身がこのまま付き合い続けられるか判らないと言うのに。
だが、優人の言う通り段々とその話題から離れていった。
同僚も締め切りで忙しく、麻子をからかうどころじゃなかったのだ。
定時に終わったので、優人のマンションへ向かった。
今日はエリーにもちょっと多く目にご飯も置いたし、水も取り替えって行ったので
1日だったら大丈夫だと思った.。
誌の締め切り前には出版社に泊まり込む事もしばしばあったから。
優人から合鍵はもらったけれど、勝手に入っていいのか判らず
結局、優人に電話をした。
『もしもし?私、麻子です。』
『どうしたの?』
『本当に優人さんのマンションに、こないだもらった鍵で入っても大丈夫?』
『前も言ったじゃない、遠慮なく入ってって。僕ももうすぐ帰るから。
頼みごとがあるんだけどいい?』
『何?』
『夕食作ってくれたら助かるんだけどなぁ』
『それぐらい大丈夫よ。じゃぁ帰り気を付けてね。』
猫のストラップがついている合鍵で優人の部屋に入ったけれど、
優人がいなかったから、落ち着かなかった。
でも優人は食事の準備を頼んだのだから一旦、優人の部屋に入り、
冷蔵庫の中をチェックしてから、スーパーに向かった。