一週間程、優人のマンションで泊まる事を辞めた。
出かける時の寂しげな鳴き声と、最近エリーと遊んであげなかったからだ。
それでも麻子の勤めている、出版社が優人のサロンの近くだったので
お昼は一緒に食べていた。
「最近、うちに来ないね。」
「うん。エリーのご飯もあげなきゃいけないし、私が外出する時
寂しそうにしてるから。」
「そうだよね。ペットとは言え家族だもんね。」
麻子は付き合い始めてから思っていた事を優人に告げた。
「ねぇ、なんで私と付き合おうって思ったの?」
「前にもいったじゃない。前と同じぐらい綺麗だって。
そして、あの男性の事も忘れなくなってる麻子さんを守りたいと思ったんだ。」
言うべきか悩んだが思い切って話し始めた。
「あのね、彼はチャットで知り合った人と結婚したの。
現実に毎日会ってる私じゃなくて、遠い大阪まで通っていたんだよ。」
「チャットかぁ。現実のいつでも会える麻子さんとチャットで会った事もない
女性と会うのはちょっと勇気がいるなぁ」
「でね、結婚式もしないで、会社の皆でおめでとうパーティの会をしたの。
笑っちゃうのが、そのパーティの幹事をして、花束贈呈までしたのよ。」
「…。辛くなかった?」
「辛くなかったと言えば嘘になるけど、彼には幸せになって欲しかったから。」
「やっぱり、麻子さんは心が広いんだね。」
「もう、結婚したら私の出番はなかったから」