Tomorrow is another day 32話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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マンションに戻り、麻子が夕飯の支度をしていたら、


「麻子さん、ちょっといい?」


「なぁに?」


「ちょっとリビングに来て欲しいんだ。」


何だろうとエプロンを外しながら、リビングに向かう。


リビングのテーブルの上には、麻子が『観たくない』と言ってたDVDがあった。


「あ…。それ…。」


「ごめんね。ちょっと荒療治かと思ったけど、


麻子さんが他の映画探してる時に、こっそり借りたんだ。


この映画、麻子さんが忘れられない人と観たんでしょ?今度は僕と観ない?


そうしたらあの人との思い出の上に僕との思い出って言うか


僕と観たって感じにならないかなぁって思って。やっぱり観るの嫌?」


しばらく凝視していたけれど、麻子は何かを決意したかの様にうなずいた。


「大丈夫。きっと乗り越えられるよ。」


「そうね。いつまでも過去にこだわってたらダメだもの。」


「大丈夫。僕がいるから。きっと大丈夫。」


『大丈夫』の言葉を何回も繰り返して、麻子を励ました。