部屋に2人で入り、麻子一人だったらアルコールを飲む分には
つまみはいらないと思っていたが、優人がいたので簡単なつまみを作った。
トマトのサラダと冷蔵庫に入っていたチーズをカットし、冷凍庫に入れてあった
枝豆をレンジで温めた。
その間、優人はキョロキョロと部屋を見ていたが、
「シンプルな部屋ですね。
最低限度の物しかないからまるでモデルハウスみたいです。」
「そうですか?あまり物を置くのが好きじゃないので
こうなったのかもしれないですね。」
コンビニで買って来たチュウハイをグラスに入れてテーブルの上に置く。
「やっぱり女性は違いますね。僕だったら缶をあけたらそのまま飲んじゃいますよ。
きちんとグラスには入れないですからね。」
麻子はくすくす笑いながら、
「今日、サボったの編集長には内緒にして下さいね。」
「もちろんです。じゃぁ乾杯といきますか。」
2人でグラスを合わせて飲み始めた。
「そう言えば渡したい物ってなんですか?」
「あぁ、これです。」
バックをゴソゴソと探して1枚のCDを取り出した。
それはDream come tureの『何度でも』だった。
「小林さんはドリカムはお好きですか?」
「えぇ、たまに聴きます。」
毎日の様に『朝が来る』を聴いては彼の存在を忘れようとして忘れられない事など
言えなかった。