エリーを抱きしめるとエリーが目を覚まし、ゴロゴロと喉を鳴らして
ひっくり返った。こういう時はエリーが喜んでいるという事は長年飼い始めて
気付いた事だった。お腹を撫でてあげると今度は麻子の手を軽く噛んでくる。
こういったコミュニケーションでエリーと信頼関係を築いてきた。
ただ、エリーは人見知りで知らない人が部屋に入ってくると毛を逆撫でて
威嚇する。威嚇はするが、じりじりと後ずさりをして最後には逃げてしまう。
要するに臆病者なのだ。
ひとしきりエリーと遊ぶと急にアルコールが飲みたくなり、薄いジャケットを
羽織って、コンビニに行った。
アルコール類を一回りして見てから、軽めのチュウハイを3本買う。
つまみも買おうかと思ったが、
基本的につまみはない方が好きなので辞めておいた。
うつむきながらポケットに手を入れて歩く。
マンションの前まで着くと人影に気が付いた。
優人だった。
「山下さん…。」
「今日、編集長から資料を持ってきて欲しいと言われたので
会社へうががったのですが小林さんが体調不良という事で
お休みと聞きまして。大丈夫ですか?」
まさか、体調不良が嘘で休んだとは言えなかった。だが、手に持っている
ビニール袋にはアルコールが入っている。
体調不良の人間がアルコールなど買いに行くだろか。