私はそんな2人が羨ましかった。
芸能人同士で隠れながらの交際でも、心から幸せそうだったから。
そういう私は?そう思うと不安になった。
口数が減った私を見て紗由理が心配そうに声をかけた。
「ねぇ、本当に光君から結婚の話とか出てないの?」
「出てないわねぇ。ってこんなに呑気でいいのかしら、私。
いいかげんお母さんを安心させたいんだけど、
相手は国民的アイドルでしょ。事務所が許さないんじゃないかしら?」
「でも、光君の性格から言ったら私達みたいに強引に結婚しちゃって
事後報告しちゃいそうだけどね。
もしくは、コンサートで『俺、結婚しま~す』みたいな
事務所も否定出来ない事しちゃうとか。」
「やりそうで頭が痛い…。
私、その時ファンの子達に恨まれるんだろ~ね。」
紗由理は武内さんの方を向き、
「龍雄さんのファンが結婚したら、私恨まれる?」
「いいや。『羨ましい』ぐらいしか思われんだろう。
うちのファンはそんなに器量の狭い奴らじゃない。」
「よかった~。じゃぁ、友梨香ちゃんも大丈夫よ。
健君が結婚した時だってちょっとした騒ぎにはなったけど、
結果としてはお祝いムードになったんだから。」