美奈は投げぱなしで家の中へ入ろうとする香に声をかけ、
「ダメでしょ。靴は揃えて家に上がりなさい。」
自分の靴も整理して玄関の片隅に置いてから注意した。
「は~い。」
とぼとぼと引き返してきた香は小さな靴をそろえると、
母の顔色をうかがった。
美奈は香を私立の小学校に通わせたいと願っていた。
幼少期の頃からいい学校に通わせておけば、
香の将来も安心出来ると思ったからだ。
だから、常日頃から、躾には気を使っている。
注意した分、その後で思いっきり
褒めて上げる様にも心がげているつもりだ。
「ママ、これでいい?」
「凄いじゃない。やれば出来るのよね。
靴もこうやって揃えると綺麗に見えるでしょ?」
美奈は香の頭を撫でながら香を褒めた。