OLと女優 第2章 21 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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黙って話を聞いてた武内さんは腕を組み、


「って事はだぞ、俺が包丁を見せてその男とダブらせた訳だろ。


こりゃ、そうとうな精神的ダメージを受けてるな。


もしかしたらPTSDかもしれんぞ。」


「私も聞いた事あるわ。ストレス障害を受けるとなるんですってね。


これは深層心理に関わってくる事だからなかなか治らないらしわ。


…深刻ね。どうしましょう。」


「俺の事務所の主治医に診てもらいます。


結構ファンてありがたいけど、怖い存在でもあって


PTSDになる若い奴がいるんですよ。」


「早い方がいいぞ。遅くなればなるほど傷は深くなるからな。」


私が気を失っている間に色々な事が決められていってしまった。


いつ病院へ行くか。会社へは行かせるかとか。


目が覚めた時には光が肩を叩きながら、


「友梨香の奴、足がもつれて転ぶんだもんな~。


それで気を失ってやがんの。」


少しこわばった笑顔で笑った。


武内さんが何事もなかった様に料理を振舞ってくれた。


会社で疲れていたからとても助かった。


でも、いつ武内さんや紗由理が


帰って来たかの記憶がぱったりと消えていた。


それだけが不安だった。珍しく光は泊まっていくと言うし…。


皆、私の事を割れ物を触るみたいに扱った。なんだろう…。この不安感。


紗由理達は会社にも先回りして


私が高田君に襲われた事を言わない様に頼んでくれてた。


天下の大女優、佐々倉 紗由理が会社に来て頭を下げたら、


誰だって協力するだろう。