そんな事も知らずに出勤した私は自分のオフィスに入って、
決済の資料を見ていた。
高田君に聞きたい資料があったので部署を見渡したけれど、
彼の姿は見当たらなかった。
私は部下で一番信用の置ける上島さんに声をかけた。
「ねぇ、今日高田君休み?」
「あっ、休みと言うかなんと言うか。」
しどろもどろになって話にならない。
男性社員が上島さんの頭を押さえて、
「しばらくあいつ休みです。
なにか高田の作った資料で解らない事でもありますか?」
「えぇ。ここの会社とうち、取り引きあったかしら。」
「どこですか?」
「嵐山出版社よ。」
「…きっと高田が新しく開拓した取引先ですよ。」
一瞬の間が気になったけど言われてみれば納得出来る内容だったから、
自分を納得させた。
「そう…。」