OLと女優 92 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

私はもう一度インターフォンのカメラを覗くと、


まだ田中と名乗っていた男がうろうろしていた。こんなんじゃ、


コンビニにも行けない。私はしばらく指を噛んで、リビングの机に座りこんだ。


「どうしたんだよ。そんな難しい顔して。」


「芸能記者がまだ、うちの前にいるのよ。どうやったら追い払えるかしら。


あんな所にずっといられたら、ご近所にも変な噂が立っちゃうわ。


なんとか、早めに手を打たないと。」


「芸能記者はしつこいからな。俺が一言、言ってやろうか。」


「バカね。そんな事したら交際してます宣言してる様なものじゃない。


今、以上に記者が殺到するわ。」


そこへ、ミネラルウォーターを取りに来た紗由理が部屋から出て来た。


私は紗由理に相談する事にした。


「紗由理、今いい?」


「いいけど…。どうしたの?2人して難しい顔して。喧嘩でもしたの?」


それに対し光は、


「紗由理ちゃん、それは誤解だよ。


俺が愛する友梨香と喧嘩するとでも思う?」


「そんなの分からないわよ~。友梨香は気が短いからね。


貴方の軽率な発言が元で喧嘩になる事もありうるかもね。気を付けてねぇ。」


そう言うと自室に戻ろうとしたのを私が引き止めた。


「待って。今、紗由理の知恵が必要なの。」


「知恵ぇ?」


ミネラルウォーターを飲みながら振り向くと、紗由理はマヌケな声を出した。