『簡単でした。ピザ屋の配達に後ろからついて来ただけですから。
案外簡単なセキュリティーですね。』
『その件に関してはセキュリティーセンターに苦情を出しておきます。
それと…。』
私は一回、光を見てから深呼吸をして、
『ブルムンの雄二さんの御自宅に行ったんじゃないですか?
このマンションでは雄二さんがお住いなのは有名ですから。
とにかく、何かの間違いです。失礼します。』
一気に言うと光の胸に飛び込んだ。不安だったのだ。
冷静を装っていても、心臓をつかまれている感じがしていた。
「友梨香ちゃん、凄いよ。とっさにあんな事出来るなんて。
俺もドキドキしちゃったよ。
さすが女優の紗由理ちゃんと同居してるだけあるね。」
「あのね、今はそんな事褒められたくても嬉しくない。どうするの。
芸能記者がここまで嗅ぎつけてるじゃないの。」
「ん~、今日は友梨香の所に泊まるから、
この家を出なくて済むし今日の所は大丈夫じゃないの?」
「明日は?」
私は半分呆れつつ一応聞いてみた。
「明日はほらプロモーションムービーの見学に来るだろ。
スタッフとでも言っとくよ。」
「スタッフが遊びに来たマンションに普通泊まる?」
「早めに来たとでも言えばいいさ。」