OLと女優 80 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

私は渋々、彼と会社に戻り受付の娘に、


「彼、BULE MOOMの江川 光さん。会社訪問をしてみたいですって。


入館証を出してあげないかしら。」


「はっはい。紺野部長、光君じゃなくて


江川さんとどういった知り合いなんですか?」


婚約者なんて言えないじゃないの~。私はにっこり笑って、


「知人に紹介して頂いたのよ。


私と江川さんとは特別知り合いじゃないわ。もう、いいかしら?」


私は光の入館証をもらうと光に渡し、


「いいわね、くれぐれも変な行動しないでよ。」


こそっと光につぶやいた。光もサングラスを少し下にずらし、


「判ってるって。心配性だなぁ、友梨香は。」


私をからかった。いつもの光の行動を知ってるから心配なのよ。


大声で言ってやりたかったがすでに会社の中だったので止めておいた。


会議室に入り、


「皆、席を外してごめんなさい。


会社訪問をしたいって方がいらっしゃったから迎えに行ってたの。」


扉を開け、光を会議室に招き入れる。


「こちら皆知ってると思うけど、BLUE MOOMの江川 光さん。


知人の紹介で知り合ったんだけど、江川さんが芸能界と違う、


一般の会社を見学したいとおっしゃって今日、いらっしゃったの。


後ろで見学されてるそうだけど、いつも通りの会議を進めます。何か質問は?」


ミーハーな上島さんがおずおずと手を挙げてきた。


来るだろうなと思ってた質問を私にする。


「部長、後でサイン頂いていいですか?」


「ダメよ。江川さんは30分程で帰えられます。」


上島さんは肩を落とし、他の会議に参加していたメンバーはくすくす笑った。