「じゃぁ、俺も従いていっちゃお。ねぇ上杉、次の収録まであとどのぐらい?」
「ここからの移動時間をふまえて30分です。」
「顔、出す位出来るね。すぐ帰るから、大丈夫、大丈夫。」
大丈夫じゃな~い。
どう、理由をつけて来るのよ。はい、私の婚約者です、とでも言いにくるの?
それだけは辞めて欲しい。
「それだけは辞めて。会社がパ二くっちゃう。」
「大丈夫だって。ブルムンの会社訪問って形で行くからさ。
友梨香との事は言わないよ。」
ホントに大丈夫かしら。でもブルムンの光はクールなイメージで浸透してるから、
暴走しないと思うけど。それを信じよう。
「上杉さん、ホントに私の会社に彼が来てもいいんですか?」
「私は江川さんのマネージャーですから、
そういう事には口出ししない方針なんです。」
タレントの管理もマネージャーの仕事じゃないの?
あくまで事務的な人なのね。そんな会話を上杉さんとしている間に
光は『芸能人の江川 光』になっていた。サングラスをし、
帽子をかぶり、コンサートで觀る光だった。
いつものキス魔の光とのギャップにどうも慣れない。