「ゆ~りかちゃん、今、窓ガラスに寄りかかって電話してるだろ~。外見てみ。」
私は慌てて外を見た。ワゴン車から光が手を振ってる。
うそ~。
なんであんな所に光がいるのよ。そして周りの人達はなんで気がつかないのよ。
私はバタバタとビルを飛び出し、光のワゴン車に乗り込んだ。
「やっぱり、来てくれた。俺は嬉しい!仕事で中々会えないだろ。
だから友梨香の職場だけでも見てみようと思ったら
ガラスごしに友梨香が見えたんだ。」
「…貴方の行動力には感心するわ。でも無謀過ぎるわよ。
ファンの娘達に見つかったらどうするのよ。」
「意外と気づかないもんだよ。実際、今も気が付かなかっただろ。」
そう話してる合間にも私の頬にキスをしようとする。
マネージャーさんはさりげなく無視してるし。
ホント、光ってキス魔よね。光を押しのけると、
「とにかく私は仕事中なの。もう、戻るわね。」
「なんだよ、せっかくの逢瀬を。」
「あのね、貴方に仕事がある様に私にも仕事があるの。
しかも部長っていう大事な仕事を与えられてるの。
それをほっとく訳にはいかないでしょ。」