高田君は渋々だったけど、2人して職場に戻った。
そうしたら何を勘違いしたのか、会社の皆が私達の周りに集まり、
「あれ~、2人で密会ですか?」
「もしかして、紺野部長の結婚相手って高田ですか?
ダメですよ。年下に手を出しちゃ。」
「新人なのに、いつの間に付き合い始めたんだよ。」
ちが~う。心の中で私は叫んだ。でも私は冷静を装って、
「皆、誤解よ。高田君が相談があるからって言うから2人で話ていただけ。
上司が部下の相談に乗るのは当然でしょ。」
私が慌ててちょっと嘘を交えつつ皆の誤解を解こうとしたら、
高田君はとんでもない事を皆の前で発表してくれた。
「違うんです。俺、俺。紺野部長が結婚されるからって
焦って部長に告白したんです!」
うそでしょ~!
なんて事言ってくれるのよ。私は唖然と高田君の顔を見てしまった。
皆はざわざわしてるし。
「やるな~。結婚前の部長に当たって砕ける勢いだな。」
「それでこそ男だ!」
「それで部長の返事は?」
頭が痛くて何も言えない…。若いってこういう事なのね。
って私も20代半ばだけど。
「部長に結婚相手の男性に会わせてくれって頼んだんだ。
だけど、その人は忙しいとか人見知りするとかで会わせてくれないんだ。
俺は部長に相応しい男性か見極めたい!」
高田君の宣言に皆は、
「おぉ~」
と、どよめき彼に、
「頑張れよ。」
「その男から部長を奪い取るんだ。」
なんて、無責任な事を言ってくれてる。
あぁ、専務に報告する前にこの騒動で絶対耳に入るわ。