私は誤魔化すのが下手だから。
家に帰って、帰りがけに買った新聞をソファに深く沈む様に
座り込みながら読んでると、本当にありもしない事ばかり書かれていた。
江川 光と彼女は既に同棲してるとか、結婚間近とか。
あの、写真1枚でなんでそうなるんだろう。
多分、あの時、コンビニにいた人達の証言もあって、
親しげに見えたのかもしれない。
その時、カンカンと勢いよく階段を登ってくるハイヒールの音がした。
私にはすぐ、紗由理とわかった。
紗由理は玄関が壊れるじゃないかと思う程の勢いで玄関を開けると、
ハイヒールをポイポイと投げ捨て、ずかずかと私に向かって来た。
「友梨香ちゃん、これ!この写真。光君と友梨香ちゃんだよね。
だって、こないだコンビニに行った時の友梨香ちゃんの服装の写真だし、
光君はすぐ判るし。だからでしょ…。
あの日、コンビニから帰って来てから友梨香ちゃんの様子がおかしかったのは。」
私は冷静に紗由理を見上げ、
煙草を手元に引き寄せると、1本出し火を付け、一息ついてから、
「そうだよ。私だよ。ごめんね、嘘ついてて。でも何にもなかったのよ。」
「じゃぁ、この記事は何?」
珍しく紗由理がなんか、怒ってる…。
あの甘ったれの紗由理が。なんでだろう。
私は色々ありすぎて混乱した頭で考えたけどわからなかった。