岡安盛男の今週の為替相場予想 2012年 10月8日
米国9月雇用統計は市場にとっては予想外の衝撃を与えました。雇用者数はほぼ予想通りではあったものの失業率が7.8%と予想された8.2%を大きく下回り、前月の雇用者数も14.2万人増へと上方修正。発表直後はドル買いと同時に円安の動きが強まりました。前回のFOMCでは失業率の低下といった特定の経済情勢が改善するまで超低金利を維持すると示唆。今回の失業率の低下により時間軸の前倒しを意識させるものでありQE4期待も後退したものと受け止められます。今回の失業率の低下はパート雇用の増加や求職を諦めた人が多かったことが要因との見方もあります。しかし、QE3は失業率改善を促すために打ち出されたもので、今後更に失業率の低下を促進するものと予想されます。
日銀政策会合では追加緩和は見送ったものの物価見通しを下方修正。次回10月30日の会合ではデフレ脱却を目指し何らかの追加緩和が実施されるとの期待が円を更に押し下げる要因となりそうです。
今週はIMF世界銀行総会やG7が東京で開催されます。G7では円高に対する日本の立場を表目するとみられ開催中は少なくとも円高リスクは後退するものと考えられます。一方で、欧州債務問題への対応策も話し合われることから欧州要人発言などユーロの波乱要因も考えられます。クロス円をみるとユーロ円など全般に底堅いものの豪ドルや南アランドといった資源国通貨などが売られるなど依然不安定な動きが目立ちます。ドル円の底打ちが確認されるまでは本格的なクロス円の上昇には時間がかかりそうです。
先日の日銀短観によれば12年度のドル円の想定レートは79円06銭であることが明らかとなりました。このレベル付近では実需の売りが上値を抑えてくると思われドル円の上昇も穏やかなものになりそうです。
ドル円の予想レンジ:79円30銭~78円20銭