今週に入り米国景気指標が好調な結果を示し追加緩和期待が後退したことでドル高基調がこの日も先行して始まりました。しかし、NY時間に発表された米住宅着工件数が74.6万件と予想の75万件を下回り2か月ぶりのマイナス。また、その後発表されたフィラデルフィア連銀製造業景気指数も-7.1と予想の-5.0を下回ったことでドルは下落。ただ、住宅許可件数は4年ぶりの高水準となるなど指標は依然強弱まちまちなものとなりました。
特にこの日は欧州債務危機への懸念が後退したことからユーロに対するドルの下落が目立ちました。夏休みから復帰したメルケル首相はECBの条件付き国債購入を支持するなど域内債務危機解決に向けECBと伴に取り組む姿勢をあらためて示唆。スペインからの要請は近いとの観測も高まりスペイン10年国債利回りは6.52%と1か月ぶりの低水準まで戻すなどリスク後退。ドル売りの要因としては米景気指標というよりも欧州リスク後退によるものと考えられます。結果的にリスクオンの動きがクロス円全体を押し上げ円は全面安となりドル売りを上回りました。
来週からお盆休み明けとなる東京市場では再び円絡みの実需取引が活発となります。現在の円安レベルであれば一先ず売りが先行して始まる可能性が高く、今日の欧米市場では調整の売りがどこまで出るか注目されます。ただ、米国景気回復基調が見え始めていることや欧州債務問題も今後解決に向けた動きが強まるとみられ、リスクオンの動きは継続するとみます。
<ドル円>
昨日もドル安と円安の動きが交錯する中で荒っぽい動きのなかで、結果的にクロス円の買いが強まり円全面安。昨日の動きはドル売りというよりも欧州債務懸念の後退によるリスクオンによるものでした。ドル自体も上値が重いことから80円の大台に到達するにはまだ時間がかかりそうです。一先ず79円ミドル付近で今日は頭打ちとみます。来週から休み明けの日本勢がやれやれの売りを出す可能性も高い事からロングポジションは縮小しておく方がよいかもしれません。下げたところで再び買い戻すことでコストを下げることができます。ただし、上昇場面では目先のロングを振り落しながらきたことで下落幅は狭く、79円付近は固いサポートとみます。
<ユーロ円>
97円80銭のレジスタンスを抜け98円台に乗せて引けました。高値圏での引けということからまだ買いの勢いは残っていると考えます。クロス円の中でも最もこれまで下落が続いたユーロ円だけに買戻しの勢いに乗りやすいと思われます。ただ、週末ということもありポンド円などの上値がそろそろ天井に近いとみられることから週末の今日は調整の売りが出やすいとみます。今年の高安からみると98円20銭付近は23.6%戻しにあたります。また、直近の高安からは98円60銭付近が次のレジスタンスとみられます。
<オージー円>
やっとのことで83円30銭のレジスタンスを上抜けしてきました。上昇基調は今後も継続するとみますが、対ドルでの上値が重く上昇幅は限られそうです。83円ミドル付近を抜けてくれば次のレジスタンスは84円ミドル付近まで特にみられません。週末ということから一旦は83円ミドルで利食い売りを出しておきたいところです。