日欧米の金融政策の行方が依然不透明感が漂う中で今週は米国の景気動向が焦点になりそうです。
先週前半は日米欧の金融追加緩和への期待が後退しリスクオンの動きが先行して始まりました。しかし、後半には中国も含めた各国中銀による追加緩和観測が再び強まり結果的に往って来いとなりました。ECBによる追加利下げは見送られたもののドイツ政府の南欧諸国の国債買い取りを支持するとの報道で再び追加緩和期待が高まります。また、先日のFOMCで追加緩和を見送った米国でもサンフランシスコ連銀やボストン連銀総裁など複数のメンバーによる追加緩和実施論は根強く残ります。先週発表された中国の貿易黒字額も輸出が落ち込んだことで景気減速への懸念が拡大。近々追加利下げを実施するとの観測が高まります。日銀は先週の会合で予想通り追加緩和を見送ったものの、欧米の金融政策を見ながら最終的に追随するとみられます。各国中銀は世界がさらなる景気減速に入ればいつでも追加緩和を実施する可能性を示すものの、その実効性に懐疑的な見方も増えてきました。欧州ソブリン問題による緊縮財政が景気鈍化を招くことで国債の下落が調達コストを高めるといった負のスパイラルを止めるにはドイツがどこまで歩み寄るかにかかっています。そのドイツのメルケル首相は夏休みを終え今週から再び動き出します。先週はECBの国債買い取りに対しドイツ連銀の反対意見を押しのけ支持する構えを示しただけに今後のメルケル首相の発言には要注意です。ユーロは週初の高値から一本調子の下落が続きました。前週の米雇用統計後に上昇した調整の売りと考えられます。今週はユーロ圏やドイツのGDP速報値やドイツのZEWといった欧州景気動向を表す指標にも要注意です。
今週ユーロが再び上昇に転じるようであれば底値が対円・対ドルともに切り上げることから上昇基調に入る可能性が高まります。
一方、米国の景気回復期待もここにきて高まり始めています。今週発表の小売売上やフィラデルフィア連銀景況指数、鉱工業生産などの指標に注目が集まりそうです。年初の暖冬の影響の反動で4-6月の景気減速が目立ちました。その悪影響が今後も続くか、或いは再び景気回復の勢いが増してくるのかを判断するうえで今週は重要な週となります。この夏は記録的な猛暑となったことや先日発表された雇用者数の増加などから期待が高まります。この結果、過度な悲観論によるQE3への期待が後退すればドル高円安と共にクロス円の上昇に繫がることになりそうです。
今週は日本がお盆休みとなり輸出企業のドル売りが細る中で米国の景気回復期待が高まればドル円は上値を試す展開が予想されます。
ドル円の予想レンジ:79円20銭~78円20銭