「日米欧金融政策の足並み」 | 岡安のFXブログ レグザム・フォレックス

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-~ 岡安式相場の読み方 ~



日銀は昨日の会合で追加緩和を見送ることで合意し、市場の予想通りの結果となりました。
新たに加わった二人の審議員も含め全員一致で決定。一部で期待された長期国債買い入れの下限金利撤廃は「必要な状況ではない」とされ実施は見送られたものの、ドル円への影響は殆ど見られませんでした。中国の経済指標はインフレ圧力が低下したことや景気鈍化を示すものが目立ち追加金融緩和実施の期待が高まりました。
一方、NY時間に発表された新規失業保険申請件数や米6月貿易赤字が予想以上に低下したことを受け市場の米国追加緩和期待が後退。ドルが全面高となりました。また、ECB月報では国債市場への介入はEFSFやESMがその役割を果たすことが必要条件とし、2日のドラギ総裁発言を踏襲するもので、その実行力への疑問が残ります。結局、日銀やECB,そしてFRBもここにきて追加緩和への市場の期待は後退。ひと月前の追加緩和期待の高まりはどこに行ったのか。
ドルの追加緩和期待後退が最も市場へ大きく影響を与える結果となりました。
しかし、昨日の数字だけで市場のセンチメントが変わることはありません。今後の米経済指標を見極めることになります。来週は米国小売り売上や製造業景況指数など米景気動向を示す重要指標が発表されます。1-3月の暖冬の影響で4-6月の景気が減速したといわれるだけに、この後の景気の動向次第で金融政策の行方が左右されるだけに注目されます。
日米欧の金融政策は同時期に足並みを揃えたように追加緩和見送りの動きが強まりました。
欧州ソブリンリスクの行方や米国景気動向を見ながら日銀が金融政策を決定する動きは全く変わっていません。


<ドル円>
日中のドル円はこの日も活発な値動きとなりました。昨日の安値は78円30銭と前日の78円23銭まで届かず連日底が少しずつ切り上がっています。フィッチは昨日日本の財政安定化への追加措置がなければ格下げを示唆したことで一時的に円安が強まる場面も見られました。日本の政治が為替市場に影響するというのは非常に珍しく、それだけ全般に材料不足とも言えます。
昨日ジェトロは2011年日本の対外直接投資額が1157億ドルと前年の2倍超となったことを発表。円高を背景に今年は更にM&Aが進んでいます。毎年8月は円高に進むことが多く、今年も円高を予想する意見が多く聞かれます。2007年夏のサブプライム問題を背景としたドルが下落の流れにそろそろ転換する兆しを見せ始めたということでしょうか。



<ユーロ円>
特に材料はないものの昨日はユーロの下落が目立つ展開となりました。対ドルでは38.2%戻しとなる1.2325ドルを下回り61.8%戻しの1.22ミドル手前まで下落。ドルの追加緩和期待が後退したこともユーロ下落の要因となりました。対円では50%戻しにあたる96円35銭付近まで下落し跳ね返されています。先週末の米雇用統計後の上昇の調整の動きはそろそろ一週間経ち終わりに近づいたとみます。今日は97円付近で上値が抑えられるようであれば61.8%戻しの96円付近までの下落もありそうです。


<オージー円>
7月の雇用統計が予想以上に好結果となったことでオージーが上昇。また、中国の追加緩和期待もオージーの底を支える結果となりました。しかし、目先のレジスタンスである83円ミドルを超えるまでには至らず反落。その後は米国金融緩和の後退からリスクオンンの動きから再び83円台に乗せて引けてきました。底は82円50銭から少しずつ切り上がっており底堅さを示すものです。ドル円のもう一段の上昇期待が高まる材料待ちとなり、83円ミドルを前に暫くもみ合いが継続すると予想します。