「米長期金利の上昇と余剰マネー」 | 岡安のFXブログ レグザム・フォレックス

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-~ 岡安式相場の読み方 ~


昨日はバーナンキ議長の議会証言が行われ、その中で議長は「エネルギー価格の上昇は個人消費を抑制し、短期的に見て成長が減速する恐れがある」と発言しました。
前回の発言を踏襲するものではありますが、特に原油価格の上昇に対する懸念を強調したことに注目します。
米国は既にQE1,QE2と2.3兆ドルの大規模追加緩和を実施し、ECBも昨年末から2度にわたり1兆ユーロ余りの大規模資金供給を行いました。
また、日銀も先月10兆円の追加緩和を実施するなど市場にはかなりの余剰マネーがだぶついているとみることができます。
ギリシャデフォルト懸念が大きく後退し、米国景気回復の兆しが見え始めたことで市場はリスク志向の動きが今後更に強まるとみてよいでしょう。
その中で米国長期金利は上昇し始めています。
10年物米国債の利回りは昨年9月に付けた過去最低の1.67%から今週には2.36%まで上昇。
過去10年間の平均利回りである3.87%にはまだ届きませんがこの勢いでいけばいずれ上回る可能性が高いと考えられます。
米国債利回りが上昇するということは国債の売りが強まっていることになり、その資金はいずれ投機マネーとしてどこかにシフトすることになります。
米国景気回復が確かなものとなれば株価にシフトすると考えられますが、既にNYダウも1万3千ドル台に乗せてくるなどややバブル気味の観も歪めません。
しかし、それでも投機マネーが入ればリーマンショック前の高値1万4千ドル台を目指す展開も十分考えられます。
バーナンキ議長の指摘する原油価格もWTIが110ドル付近まで上昇してきました。
中東情勢などの影響もありますが、余剰マネーがかなり入っていることは間違いないでしょう。
FRBはQE3の可能性を依然として温存するものですが、市場は既に長期債の売りを強めるなど金融政策の転換を促す動きが目立ちます。
超低金利政策の継続はイコールドル安政策を示すものですが、この流れが変わり始めたということになります。
勿論、急激にドルが上昇すれば何らかのアクションが米国サイドから出てくると思われます。
しかし、今のユーロの動きなどを見てもそれ程懸念するようなドル上昇とは言えません。
昨日のドルインデックス終値は79.6と今年1月の高値81.8にも届いていません。
FRBが今後QE3を実施すれば更に原油価格の上昇などを引き起こし、それは米国景気を押し下げることになります。
バーナンキ議長は市場にQE3の実施はないことを暗に仄めかしているとも考えられます。
超低金利政策の時間軸を変更することはなくても、金利を正常なレベルに戻すことになるかもしれません。