先週は米国経済指標が前週に引き続き景気の回復鈍化を示すものが目立ち、ドル全面安の展開となりました。米4月新築住宅販売件数が予想をやや上回ったものの中古住宅販売件数は大きく落ち込みました。また、リッチモンド製造業指数や耐久財受注の落ち込みや新規失業保険申請件数が3週ぶりに拡大。更に、上方修正の期待が高まっていたGDP改定値が前回の速報値と変わらず1.8%と横ばいであった事からドルは失望売りが強まりました。一方、日本もムーディーズが「2期連続でマイナス成長になった事で国債の下押し圧力になる」との声明を出した事や、4月の貿易収支が予想よりも数字は縮小していたものの赤字に転落。更に、金曜日にはフィッチが日本の格付け見通しを安定的からネガティブに引下げルなど円売りの材料も多く見られました。結果的にドル売りの勢いが円売りを上回りドル円は81円を割り込んで先週は終了。ユーロもギリシャ債務再編問題の不透明な動きが見られたものの、ドル安に押される形で1.4ドル割れから最終的に1.43ドル台に乗せるなど底堅い動きとなりました。
前回のFOMCでは6月末でQE2を終了すると発表したものの、今後も景気減速の兆しが高まるようであれば量的緩和第3弾QE3に踏み切るのではといった憶測が聞かれ始め、それがドルの上値を抑えました。今週も米国消費者信頼感指数やADP雇用統計、そしてISM製造業景況指数といった重要な経済指標が軒並み発表される予定です。また、金曜日には最も注目される米雇用統計が発表されます。これらの指標がこれまで同様予想を下回るようであればドル売りが更に加速する可能性もありますが既に大分織り込み始めている事もあり、寧ろ予想を上回ればサプライズになると考えられます。
先週は今週の月曜日が米国や英国の祝日ということで連休前のポジション調整のドル売りと量的緩和への期待から一部ショートに傾けたところもありそうです。いずれにしても、今回の雇用統計がドル安の歯止めとなるのか注目したいと思います。
今週のドル円レンジは83円00銭~80円00銭とみます。