何が起こったのか分らない恐怖から、逃げ遅れないようにという意識からかリスク回避の動きが強まりました。
一方でユーロは堅調な地合いがみられます。
ユーロの介入の噂は前日のユーロスイスの買いが強まった辺りから出始め、昨日もNY市場の午後に入り介入の噂が広がりユーロは急速に上昇。
それでもリスク懸念は根強く、ドル円は上値の重い展開が続いています。
明けて東京市場では先ほど菅財務相の「行き過ぎた円高にならないように注視」という発言でドル円も介入警戒感が高まり一時的に買い戻しがみられます。
これといった材料があったわけではないことから、今回の急落は今月6日に起こったNYダウの急落時と同じ匂いがしました。
昨日の動きを簡単にまとめてみようと思います。
4月米景気先行指標総合指数がマイナス0.1%と予想された0.2%を下回りダウ下落。
VIX指数が前日の高値38を上回り46まで上昇。5月6日の高値42を越えました。
タロールFRB理事、上院での公聴会で「欧州の金融逼迫は世界の金融市場に波及。危機が拡大すれば米銀の調達コストが上昇し資産が悪化。最悪08年金融市場の流動性枯渇の再現」と悲観的な見通しを示しました。
CNBCが今夜遅くECBが記者会見を実施する可能性があると報道。
ユーロの介入の噂広がりユーロドル急騰。
米上院議会は金融規制法案審議打ち切りを可決。
中国財務相補佐はユーロ安で輸出採算悪化などから「米国側の圧力は改革を遅らせるだけだ」として人民元の早期実施に慎重な姿勢を示しました。
ギリシャのゼネストで2万人がデモ。財政再建に足枷。
ドバイワールドが債権再編で銀行団と合意。当面の危機は回避される見通し。
英国新政権は新銀行税を導入
韓国哨戒艦沈没は北朝鮮による魚雷によるものと断定され北朝鮮制裁を睨み半島有事から円売りも。
日本国債の格下げの可能性・・・著名レポート
など、普段であればどれも為替市場に大きく影響を及ぼすとみられる材料がこれだけありました。
この他にも欧州の要人がユーロをサポートするような発言も殆ど市場は反応しませんでした。結局、ギリシャ問題を機にこれまでの欧州の後手に回った対策から不安感が拡大。
その原因ともみられるドイツの優柔不断な態度がここにきて一変。
EUへの根回しもなく唐突に国債や株のカラ売り規制を決めたことで、市場は更にEUの協調体制への懸念が深まったことも今回の円買いの動きの要因になったとみられます。
ドイツの空売り規制には市場にはまだ出てきていない情報が裏にあるのではといった不安感。これらが投資家に猜疑心や不安感を与えたことが今回の最大の要因かもしれません。
ユーロ安は輸出を後押しするということから、EUサイドから何度もユーロのレートは問題ないというユーロ安容認ともとれる発言がきかれました。
しかし、ユーロ安が進めばそれだけ資金は欧州から流出することになり、株価などの下落を引き起こす原因ともなります。
為替だけを放置して、良いとこ取りをしようとしたつけが回ってきたともいえます。
ドル円も88円台に再び入り俄かに騒がしくなりそうです。
為替安定がそろそろ主題になりそうです。