昨日の日経株価が一時300円超下落するなか、影響は少ないと思われた上海総合指数まで欧州の債務問題の影響を受け136ポイント下落。
米国NYダウも一時180ドル余り下落するなど、世界の株式市場で神経質な動きがみられます。
この下落の背景には欧州の財政不安から発した金融不安が世界にまで波及するのではという、ひと頃言われたデカップリングが原因との見方もありますが、寧ろ為替の問題が影響しているとみられます。
ユーロ安は欧州への輸出比率の高い米国や中国にとっては大きな痛手になり、それが株価下落を招いているとみれば、ユーロ安が今後問題になると考えられます。
オバマ大統領は5年をかけて輸出を倍増する計画を掲げており、欧州圏に約14%の輸出する米国にとっては今回のユーロ安は痛手になります。
中国貿易黒字は為替とは関係ないと言及していた中国も、ユーロに関しては異なる見解を示しています。
中国にとっては米国を上回る最大の輸出先となるEU。米ドルでは買い介入を続け元安を維持する中国が、今後はユーロ買い元売りの介入を行うという冗談のような話もないとは限らないかもしれません。
いずれにしても、市場のセンチメントが悲観論と楽観論とが入り混じり最終的にどちらに傾くかが今後の相場と大きく左右するとみて良いでしょう。
ギリシャ問題がここまで深刻化するまでは、ドイツやフランス経済を中心とした欧州全体の経済は回復基調にありました。
また、米国経済指標も欧州以上に景気回復の兆しを示すものがここにきてみられるようになりました。
市場の心理が悲観的な見方に傾き過ぎると、回復傾向のあったものまで落ち込むことにもなりかねません。
先週、EUが打ち出した7500億ユーロの支援策は各国の承認待ちではありますが満足するものでした。
主要6カ国の金融ドルスワップ協定も金融不安を払拭させるものであり、ECBの国債購入に踏み切ったことも断固とした強い決意を表すものとして評価されるものです。
今の相場はこれらの政策の結果を見る前から既に悲観的な見方をしている動きが続きます。
欧州サイドがユーロ安を容認しているとの思惑からユーロ売りを仕掛けているところもあるようですが、市場が落ち着いてくれば見方も大きく変わる可能性があります。
本日のNY市場では4月の住宅着工件数が発表され、前回の62.6万件を上回る65万件が予想されます。
サブプライム問題の発端となった住宅価格の下落から、そろそろ住宅関連の回復の兆しがはっきりとみられれば市場の楽観論が広がるきっかけになるかも知れません。