バス車中の前夜にまともに寝てなかったので、晩メシを食ったら、こてんと就寝。
・・・と思いきや、またも件のおっさんが、隣で高いびきをかきはじめる。
耳元の異様な近距離だ。
おまえ、絶対わざとやろ。
オイルサーディンのような雑魚寝状態の部屋内で、場所を求めてさすらう午前1時さ。

さて、翌朝は午前6時の起床。
ワゴンに機材をつめ込み、ごはんとみそ汁をかき込んで、さらに昼飯用のおにぎりを各自につくって出かける。
急がなければならない。
前日に引き続き、大潮なのだ。
午後3時には作業を終わらせるため、スタートから出力全開。
この日は、前日とは別の家屋のがれき撤去と、崩壊した納屋の屋根の解体、その他もろもろ。
まっ黒な泥に長靴を踏み入れ、魚アミを引きちぎり、庭中に散乱するあれやこれやを運び出す。
「リーダーはいない」「自己判断」と口を酸っぱくするこの団体。
だったらオレが指図してやらー、と積極的に声を出す。
さあみんな、カワラ運ぶよ、バケツリレーの列つくって、はいそこもうひとり入って、ライン詰めてね、声出していこー、はいよーそれそれ。
女子にバールを渡すと、嬉々として屋根の解体をはじめる。
格子のすき間に刃先を叩き込み、テコの原理でクギごと引きはがしてく。
建材を分割したら、何人かでかつぎ上げ、あるいはネコをつかって、撤去場所に移送。
前日のようにバラバラじゃなく、今日は全体が有機的に連結して動いてるよ。
ひとりがかけ声すれば、効率は劇的に上がるのだ、と学習したね、ヨシヨシ。
それにしても、ものすごい暑さ。
空気が小揺るぎもしないこの日の作業は、ただ立ってるだけで体力の消耗いちじるしい。
15分働いては水を入れるが、たちまち汗腺からだだ漏れ。
クラクラして倒れそうになるところを、周囲のがんばりに支えられて、自尊心だけで動きつづけた。
昼飯のおにぎりを手にすると、ただの塩にぎりだったはずが、おこわ(あずきごはん)のおにぎりになってる。
はて?と思って口に近づけると、あずきたちはいっせいに飛び去り、銀シャリが現れる。
ハエの活躍もおびただしい。
そんな環境で、道路が海水面に沈み込むまで働きつづけた。

崩れた橋を渡って、撤収。
夕刻、堤防を車でぶっ飛ばしたはるか先にある銭湯に向かう。
ここは津波にやられてない地区。
なかなか立派な天然温泉だ。
が、中に入ると、ボランティアたちなのかな?ひとであふれかえってる。
洗い場には十数人もが列をなし、順番待ち。
あきらめて、湯舟につかるだけにした。
湯上がりに体重を量ると、衝撃の数値!二日間で5キロも落ちてた。
完全なエンプティだ。
そういえば、ビールも飲んでねーや(飲める体力も残らない)、と思い至る。
都会生活の、なんという自堕落よ。

青々とした水田が、かぐわしい酸素を放つ。
このいとおしい風景を守らなくちゃ。

つづく

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さて、わがベースキャンプ。
石巻の河北地区を拠点に動いてる「RQ」さんという災害救助の任意団体にお世話になった。
RQさんは東北の震災後に発足した団体で、本当に尊敬できる活動をしてるのだ。(ネットで見つけて、ここだ、と飛び込んでみた)
寝ぐらは、ごらんの古民家。
来る者拒まずのこの団体は、とにかくすべてのボランティア志願者を受け入れるふところの深さをもってて、実にありがたい。
この日は三連休初日とあって、全国から有志が集まり、家屋に入りきれないひとたちは庭にテントを張っての泊まり込み。

みんな東北を助けたいのだった。
寸暇をつかってでもね。
ところで、往きのバスで一緒だったヒトビトは、別の街の温泉宿に泊まったみたい。
そんなツアーがあるらしい。
つまり、被災地の温泉にお金を落としつつ、空いた時間をボランティアに費やしましょ、みたいな。
それはいいね。
ボランティアのすそ野が圧倒的にひろがるはずだし、手伝いたいひとにはどんどん参加してもらいたいもの。
オレは「バスだけ相乗りさせて」みたいな感じで、西日暮里の本部に強引に頼み込んで乗っけてもらったんで、このベースキャンプにヤドカリ。
一宿一飯のお世話になった。

キーマカレーまでごちそうになったよ。
RQさんは「なんでも自己責任」というポリシーに貫かれたストイックな団体なんで、もちろん食器も各自の持ち込み。

わが粉引き、そしてハシも持参。
とにかく、いろんな勉強をさせてもらったよ。
振る舞い方とか。
心構えとか。

つづく

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活動開始。
作業内容は、ある一軒のお宅(広大)の庭に入り込んだ泥の撤去と、流れ着いたがれきや破砕した建材の運搬。
入り口近くのヘドロはガリガリに固まってるんで、そいつは平スコで引っぱがし、ネコ(一輪車)で搬送。
庭の奥は、真っ黒な泥がまだレアで、異臭を放ってる。
そのそこここに転がる木材、ずぶぬれの古タタミ、魚アミ、発泡スチロール片、衣類、食器・・・その他もろもろを、手作業で引き抜き、瓦礫の集積所まで移送する。
たちまち、泥まみれの真っ黒な姿になる。
みんな一生懸命だ。
手を動かしつづけ、足を止めることなく、ひたすら力仕事、そして定点間のピストン輸送。
太陽が高く上がると、空気は蒸され、泥は発酵を開始し、すさまじい異臭が立ちのぼりだす。
おびただしいハエが飛び交う。
5月のハエと書いて五月蝿い(うるさい)と読ませるが、7月のハエもなかなかのもんだぞ。
しかし、ハエもムカデもダンゴムシもアリも、異臭も、泥汚れも、たいして気にならない。
周囲の仲間たちの真剣な活動っぷりを見てると、自然に力が湧いてくる。
こじき(に見えた)のおっさんも、意外や大戦力となって立ち働き、みんなを引っぱってる。
ジョシンもわがはらからになじみはじめ、「『叙々苑』のジョです」と自己紹介してる。
取材とボラ旅兼のロイター記者・リサも、コロコロのからだをゆさゆさと揺らして、庭を行き来する。
心はひとつだねえ。
みんな、東北を助けたい一心で、どろんこになってく。
それにしても暑い。
1、5リットルの水と2リットルのサイダーを持ち込んだが、入れても入れても、たちまち汗となって出てく。
休憩時間にラガーシャツを脱ぎ、きゅっと少しだけ絞ったら、温泉につかったタオルを絞るように水気が「じゃ~」としたたったのには驚いた。

疲労困憊となって、午後3時過ぎ、この日の作業はおしまい。
この日は大潮なのだ。
つまり、この地盤沈下した集落は、再び水に侵されるのだった。
日が傾き、満月がさてのぼらんとすると、本当に刻一刻と、庭に、道路に、そこここに水がしみ出してくる。
とっととバスに乗り込み、例の即席ハイウェイを逆走しないと、ベースキャンプに帰れなくなる。
大急ぎで現場を後にした。
が、この集落の復興のことを考えると、ほんとに途方に暮れそうになる。
はー・・・



被災地の写真撮影は遠慮してたんだけど、二枚だけ。
水没した(つか、流失した)家屋と、寸断された海沿いの道路。

つづく

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サービスエリアにたびたび立ち寄りつつ、深夜バスは進む。
東の空が白々と明け、お陽さまが顔を出し、空気が蒸されてセミが鳴きはじめたあたりで、ついにインターを降りる。
うとうとはできたが、まともに休めず、硬いシートで背中はゴリゴリ。
ところがここで「はい、みなさん、作業着に着替えてくださーい」と、リーダーから鬼の発言。
このバスで直接、被災地入りするのだ。
覚悟はしてたが、なるほど、ともう一度腹をくくる。

ヘルメット、ゴーグル、粉塵マスク、長袖シャツ、長ズボン、頑丈なゴム手袋、長靴、これがボランティアの標準装備ね。
全部「スーパーバリュー」でそろえたよ。(ボランティア志願のひとがいたら、レンタルするから、いつでも言ってね)
さらにバスは進み、石巻の海岸線へ。
徐々に家が、街が滅形していき、ついに道がなくなる。

学校は崩れ、診療所は沈み、お墓はなぎ倒され、電柱は傾き、残された平たんなスペースには、ボロボロの建材、車、タイヤ、そしてコンクリがうずたかく積み上げられてる。
自衛隊もがんばってる。
孤立した地区へ道を通すために、突貫工事で、ごらんの道路づくり。
この辺り一帯は集落だったのだけれど、地盤沈下で遠浅の海になっちゃったわけ。
そこで、サイドに土嚢を積み上げ、盛り土をして、「ハイウェイ」を造ったというわけさ。
わずか三週間前に開通したというそのガタガタ道を進むと、ついに現場に到着。

わが精鋭たちも、眠い目をこすりつつ、準備。
作業内容は、民家に押し寄せた泥のかき出し、コチコチのヘドロはがし、そしてがれき撤去。
がんばるで~。
ところが現場は、灼熱と悪臭に支配された重量物の林、そして可愛らしい昆虫の王国なのだった。

つづく

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6泊5日と、夏休みを盛大につかって、東北でボランティア活動をしてきたよ。
本当にいろんなことを考えさせられた旅だったなー。
というわけで、例によって、ルポルタージュを書かせてもらう。
まずは印象や心象を取り去って、現象面だけを描写してみるね。

金曜日。
工房を閉講後、荷造りをして、大泉学園発の電車に乗り込む。
するとその途端、ちょっと大きめの地震。
電車は止まり、「車両点検」のアナウンス。
すぐに動きだしたからよかったものの、なんだか不吉な予感。
さて、電車を乗り継いで着いたのが、新橋駅。
午後10時半、ここから被災地に直接、ボランティアを満載した深夜バスが出るのだ。
待ち合わせ場所では、小汚いおっさんが、地べたに座りこんでパソコンを打ってる。
ドリフのコントに出てくるこじきみたいな感じで、酔っ払ってるようにも見える。
しかしレジ袋につめ込まれた装備を見ると、ボランティア志願であることは瞭然。
「よろしくね」と声をかけられ、よろしくいらんわ、と思いつつ、握手。
さらに、アメリカと日本のミクストの、すばらしくかっこいい高校生に話しかけられる。
「ボランティアの待ち合わせ、ここでいいですか?」
名前を聞くと、「ジョシンといいます。漢字で書くと、シンは大臣の臣、ジョは、説明できない」という。
書いてもらい、「ああ、それは焼き肉屋『叙々苑』のジョだよ」と教えてやった。
その後、コネチカット生まれの母ちゃん登場。
コロコロとして可愛らしい彼女は、ダウ・ジョーンズからロイターを渡り歩くジャーナリストだという。
その後も、大学のサークル風の団体さんやら、ひとりで参加の青年やら、夫婦や家族で参加のヒトビトやら、アニメTを着込んだオタク風のアジア人やら、ガテン風のイカツイ連中やら、様々な人種が、大荷物を背負って集まってくる。
みんな志しに燃えてるのだな、と、ちょっと胸が熱くなったり。

そんなこんなしてるうちに、バスがやってくる。
いよいよだ。
オレはまっ先に乗り込み、最後部座席の左すみをゲット。
みんなも続々と乗り込んでくる。
さて全員乗ったか?と思ったところに、件のこじきみたいなおっさんが駆け込んできた。
「ムシさされの薬を買いにいってました」というが、あんた、ムシなんか平気やろ。
どこに座ろっか、と悩んでるふうだが、誰も隣に座らせようとしない。
しかたなく、「おっさん、ここに座んなよ」と隣に呼んでやる。(ここではやくもボランティア精神発揮)
おっさんはうれしそうに隣に座ったはいいが、バスが出ると同時に、高いびきをかきだす。
しかも耳元のヘッドホンからシャカシャカと音が漏れてくるし(よく眠れるな)、こっちにもたれかかってくるし、あったかいし、じっとりしてるし、なんかやなカンジ。
おまけにバスの天井からクーラーの結露がぴとりぴとりとしたたってくるし、最悪の状況。
いったいどんな旅になってしまうのか?

つづく

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街が暑くて、やっと屋内に逃げ込んでも、室温がたいして外とかわりなくて、その事実にどっと汗が出てくる。
節電の昨今にこんなこと言うのもあれだけど、28度って設定温度は尋常じゃないよ。
それでも、「本日の電力消費予想は92%です」などと街角にあると、ああ、やはり節電しなければ、と思う。
が、その情報が「電光掲示板で流されてる」って部分に、また頭が熱くなったり。
その電気こそ消せや~っ!


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「あははー」とほがらかに笑うのが、隊長のゆりこさんです。
「う、ふ、ふ」と、大原麗子のように声低く笑うのは、かのこさん。
「えへへ」と笑うのは、よはんなさん。
「おほほ」とお上品なのは、りょう子女史。
以上4人で、工房山岳女子部です。
「いひひ」と笑うひとが足りませんが、募集中です。
・・・いらんか。

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「冬季五輪」と聞いて、「陶器の?」とときめくのは陶芸家だけですかね?
開催都市が、韓国のどこかの都市に決定したらしいです、よかったね。
ところでうちの工房生にもウブなひとがいまして。
鳥が大好きで、鳥を尊敬してる彼女は、「トリノオリンピック」と聞いて、「鳥の?」と興奮したそうです。
この感性、失いたくないですね。

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政府がアホやから、もう自分でやる。
直接、被災地に乗り込むわ。
オレが日本を整えてさしあげよう。
水木しげる大先生は「しないではいられないことをしつづけなさい」とそそのかしてくださる。
だとすれば、オレは現場にいかなきゃ。
自分を完成させるんだもんね。
今月中旬に5連休も取ったし。
バスも予約したし。
どろんこ仕事はお手のものだし、そいつをしてこよう。
ブタちゃん(募金にご協力、お願い!)も連れていこう。
奉仕にいくわけだけど、それに倍する大切なものをもらってくるつもり。
アホな連中も、現地で汗かいて、性根を叩き直してもらったらええんや。
かく言うオレも、ひとのこと言えないけど。(←いや、断固言うけど)
腹に肉を付けすぎた。
だめだ、これじゃ。
きちんと肉体を使って働いて、考えさせてもらおう。
なにをって?
森羅万象を。
この世の営みってものを。

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面白いなあ、と言うと、不謹慎?
でも楽しんだんでしょ?
面白かったよね?
結局ね、この「楽しむ感じ」ね、政局を。
好きなんですよ、日本国民は。
ちゃうかなあ?
でも、ま、それにしても、とはさすがに言わざるをえないわけですが。
すごい人物でしたね、復興担当大臣。
このスカスカの人間性を復興のトップに持ってくるとは、さすがです。
「好人物」という評もあるそうですが、まさか、と思います。
それを言ったら人間としてアウト、のとこまで踏み込んでますからね、今回は。
現政権の最も優れてる点は、「国民をがっかりさせることができる」という能力でしょう。
どんだけ悲しい思いにさせてくれるのよ。
そのいっこいっこの寸劇がいちいち面白いだけに、ぼくらウオッチャーとしては非常に困ってるわけです。
それどころじゃないもんなあ。
これが平時だったら、とことん楽しめるんだけど・・・
さて、次はなにが起きるのか。
期待、大。

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