冬のシロシャクジョウ | 美味しく、楽しく、生物多様性ブログ!~NPO法人森の都研究所

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生態系の専門家である前に一人の平凡な父親として、豊かな自然を子や孫に伝えたいから、処方箋を皆さんと一緒に考えていきたいと思います・・・

毎朝のように霜が降り、結氷している丹波地方の里山。。。


ふと思い立って、南国の奇妙な花、シロシャクジョウ(白錫杖) の生息地のひとつを訪れてみると、


まだ新しい花が咲いていました!?


シロシャクジョウ12月

< 夏の終わりから晩秋まで、密かに咲き続ける珍花、シロシャクジョウ/ 兵庫県丹波市 >



兵庫県下では、丹波市のみで確認されている、県版レッドデータブックAランクの貴重種ですが、四国、


九州、沖縄と、南へ行くほど、ごくありふれた植物になっていくそうで、霜や雪にあたると、一日で変色


して萎れてしまうあたり、やはり南国の花です。



ところが・・・この12月の丹波に咲いている不思議は、なにゆえでしょう!?



もともと、照葉樹林(常緑広葉樹林)の植物と言われていますが、丹波では、植林の針葉樹と照葉樹が


混成しているようなところで、このように、12月にも咲いているのです。



よく見てみると、田畑が真っ白に霜に覆われている朝でも、常緑針葉樹であるスギやヒノキの植林地に


入ってみると、霜は樹冠を白く化粧しているだけで、林内には及んでいません。


霜の核の成長が表面である樹冠に限られ、林内は空気の布団ができているのでしょう。



そう思って見渡すと、田畑の畦でとっくに冬枯れしている同じ草が、林内ではまだちらちら青葉を残して


いることにも気がつきます。 南国の草花にとって、初冬の植林地は、「意外に南国っぽい」場所


のかも知れません。


・・・もちろん、本格的な大雪が到来すれば、一転して、「なかなか雪が融けない冷凍庫」 になる


のですが(笑)



身長1~2mの世界に生きる私たちと、草丈10cm内外に暮らす野草たちとでは、同じ丹波の日々の


天候や気温変化が、全く異なっているんでしょうね。


生きとし生けるものの この世は、なんとフクザツで面白いんでしょう~!