自分に聞こえる声と
他人に聞こえる声は
明確に違うよね
ましてマイクを通した声は
度し難いほどに違う
我慢ならないこの落差を埋めるために
私は嘘の声を通すことに決めた
偽りの仮面が完成に近づき
嘘の声の準備にかかる
自分自身にだけ聞こえる声
ある意味真実を纏うために
自分の声に加工を施す
私が私で在るために
皆には嘘の声を聞いてもらう
私が私でいるための
超えなければならない壁
技術的にとても難しいのだという。
それでも、
超えたい
超えなきゃ
私は声を出すことが出来ない
偽りの仮面は
偽りの私に形を与えたもの。
でも、
声は
私がずっと私であった証
譲れないこと
そのために嘘を付く
私の小さな矜持のために