もう
何度も何度も
何度も諦めようと思った
この少しだけ光が差し込むオシイレの襖の
細く細く
細くあいたスキマを
そっと閉めて
全てを幻視にして
全てを幻聴にして
真っ暗になったオシイレの中から
そっと消えてしまおうって
もう
何度も何度も
何度も
諦めようと思った。
超えるための勇気
生きるための全てが
たとえ嘘だったとしても
いつだったか
一人だけ明るいところで
あんたがそんな歌を歌ってた
一人だけ明るいところで
一人だけあんたが
もう何もかもを
引きちぎられるように奪われていく中で
このオシイレにそっともたれて
そんな歌を歌ってくれた
超えるための勇気
生きるための全てが
たとえ嘘だったとしても
でも翼を広げ
はるかな旅に出よう
あんたが
あんたが
私たちを
タイセツナモノ
そう言ってくれるのなら
そう言ってくれたから
私たちは
飛べない鳥の翼になるよ
あんたの手も
私の手も
他のみんなの手も
オシイレの襖には
届かない。
だから。
光眩い襖の向こうで
あんたから
なんもかんも全部持ってったうえで
まだ奪おうとする
まだ切り裂こうとするあいつらも
ここには手を出せないから
私たちは
泣きながら
歌いながら
眠りながら
絶対にあきらめないんだ。
何があっても。