ごめんね。
おねがい。
あなたがツライこの夜に。
一緒に喪に伏すことじゃなく。
ただ笑って過ごすことを選ばせて。
あなたが寒いこの夜に。
一緒に慄えることじゃなく。
ただ暖かく過ごすことを許して。
あなたがひもじいこの季節。
一緒に誰に給することじゃなく。
ただ貪ることを許して。
春が来たばかりの
花も凍えるこの夜に
積み上げたものを失い
何も持たず
満足に食えず
落ち着いて眠れず
先の見えない中。
私たちが
ただ運良く住んでる場所が違うという
本当に運が良かっただけで
美味しい物を食べ
温かい場所で眠り
明日もまたいつもどおりに生きることを許して。
ごめんね。
おねがい。
ありがとう。
何も失わなかった私たちが
普通に普通に
悲しみから目をそらさず。
それでも
普通に普通に
まるで何もなかったように
普通に普通に過ごすことで
悲しみの海に沈み込むことを
踏みとどまることが出来たなら。
きっと忘れず迎えに行けるから。
寂しいだろうけど。
悲しいだろうけど。
悔しいだろうけど。
羨ましいだろうけど。
妬ましいだろうけど。
生み出す力が必要だから。
幸いにも笑うことができる私たちは。
あなたの分まで笑います。
幸いにも味わうことができる私たちは。
あなたの分まで味わいます。
幸いにも明日を夢見ることができる私たちは…
きっときっと
この国の未来を
沈むことなく立ち上げて
あなたと子供たちと
みんなの未来を作るから。
ごめんね。
お願い。
許してね。
力が残った私たちは。
今こそ力を奮います。
不謹慎だと言わないで。
ごめんね。
お願い。
ありがとう。
失われた大地に。
再び希望を灯せるよう。
ちょっとだけ先に進んで。
道を創りに行くからね。