前回に引き続き、大島探訪記をお届けします。
山頂は風が強く、傾きそうになる上体を直すように歩きます。
ぽっかり開いた火口からは所々湯気が湧き出て、地面ですら暖かい場所が見られました。
裏砂漠へと続く下山路には、イタドリ・ススキに混じり、オオムラサキシキブの姿が見られました。
こちらのものに比べ、実は大振りで先のほうにまとまって付きます。
味は・・・まぁまぁです。
風媒のイタドリ・ススキに混じり、動物散布のムラサキシキブ。
ようやく進んできた遷移も、またいずれ訪れる噴火により焼け野原に戻ってしまうのでしょう。
裾野には、割れ目噴火の形跡が残っていました。
噴火は火口だけでなく、地殻の隙間を縫って噴出します。
その時の荒々しい光景が、様々な造形を見せてくれます。
まさに、地球創世記の景色とでもいいましょうか。
ゴツゴツとした岩稜のような噴火帯を抜け、スコリアの台地へ。
細かい粒状の火山灰礫が積もり、まさに砂漠のような景観を作っています。
軽いスコリアは風に流され、常に地表が流動しています。
ですので、植物も定着しづらく裸地の状態が続いています。
裏砂漠を抜けホテルへ続くルートは、植生遷移の見本林とも呼べるものでした。
イタドリからススキの群落をぬけ、パイオニアのヤシャブシが入り込みます。
やがて高木となる本来の温暖帯植生である、シロダモやカシ類の生える林へと移って行きます。
面白いのは、こちらのものに比べて全体的に葉が大きく、厚みがあって瑞々しいこと。
本来の気候域でのびのびと成長する様子が見られたような気がしました。
もっとも、島嶼部に特有の頭に「オオバ」や「シマ」を冠した名を持つ植物も多く、温暖な気候とガラパゴス的要素が加わって独自の進化を遂げたものも多いようです。
冗談半分に、なんでも頭にオオバ~と勝手に名づけて、失笑をかってみました(笑)
下山後は、ガイドさんとっておきの景勝地でサン・セット。
というか、地元の人もたぶん立ち入らない山の中ですが・・・
可憐なダイモンジソウが、迫りくるうす闇に溶け残っていました。
帰路は温泉によって、宿に入ります。
主こだわりの島の食材を使った料理が、これでもかと出てくる宿でした。
舌鼓というか、十二分に大島グルメを堪能させていただきました。
その晩はちょうど皆既月食。
天体ショーに広大な宇宙のロマンを感じつつ、夜が更けていきました。
二日目は、大島の原生植生を訪ねます。
今回はここまで、次回に続きます。