あけましておめでとうございます。
2011年の年明け、どんなお正月をお迎えでしょうか?
今朝は近所で初日の出を拝んでから、神社へ初詣。
後は自宅でのんびりしておりました。
お正月特番に習うわけでもないのですが、新春企画(?)大島探訪記をお届けします。
昨年、仲間のインストラクターがいる大島を訪ねた折のレポートです。
竹芝桟橋を後にし、高速フェリーに揺られること2時間たらず。
恥ずかしながら、生涯で初の伊豆大島上陸です。
到着の余韻も覚めやらぬうち、すぐにお迎えのリムジン(バン)に乗り込みます。
海岸から一気に山の中腹まで駆け上がり、温泉ホテル駐車場でバスに乗り換えます。
終点、三原山の山頂口に到着。お鉢めぐりのスタートです。
遊歩道に入り、目に付くのはオオバヤシャブシの群落。
所々にイヌツゲ・ヒサカキが混じります。
ちょうどヒサカキが花をつけていました。雌雄異株ですので、これは雄株のようです。
大島は、ご存知のとおり三原山を中心とした火山島です。
火山活動は今も続き、周期的な噴火を繰り返しています。
全島に観測機器が据え付けられ、微振動や地殻変動をリアルタイムで計測。
噴火の予兆を常に監視しています。
全島が溶岩により作られ、土壌もあまり発達していません。
海岸線ももろく、侵食にさらされています。
ですので、定期的な噴火により溶岩が流れ出ることで、島の形状を維持しているのです。
まさに、噴火と共に暮らす島です。
そんな三原山ですが、度重なる噴火により、植生は初期の遷移の段階でとまっています。
ハチジョウイタドリの芽吹きから始まり、ススキが入り込みます。
僅かに貯まった腐食を頼りに、木本が生えてきたのが今の三原山の姿です。
植生回復に影響を与えるのは、溶岩の質。
大きく、アー溶岩とパホイホイ溶岩に分かれます。
簡単に説明すると、アー溶岩は粘性が低く、飛沫状に流れながら固まるので、表面に細かい穴状の凹凸があります。
パホイホイ溶岩は、粘性が高く、表面が滑らかに固まるので、流れ方によっては向きを変える際生じる溶岩たまりなどに、帯状の模様を作ったりします。
アー溶岩は、小さな窪みに種子が定着するので比較的植物が入りやすい環境です。
パホイホイ溶岩のほうにも、褶曲の溝に引っかかれば何とか芽生えも期待できそうです。
もう一つ、スコリアというのがあります。
スコリアとは、噴出物のうちでも軽いもので、軽石のような堆積物として地表を形成します。
スコリアの積もった場所は、多孔質でありながらも空隙が大きいため、種子が隙間に落ちてしまい日照を受けづらくなります。
したがって、スコリアの体積した場所は植生の回復が遅くなり、裸地が広がっています。
そんな遷移の様子を観察しつつ、火口を目指して登っていきます。
そんな私たちに、自然は思いもよらぬものを用意していました。
湿った林縁に良く生えている、ヒカゲカズラが遊歩道の脇にありました。
こんな離島で水気の無い、しかも風の強い乾燥したところに、ナゼ原始のシダが生えているのか。
よく見ると、見慣れたものより矮小化し、肉厚なように感じられました。
もしかすると、大島の温暖な気候に適応したものなのかもしれません。
島への適応といえば、サルトリイバラにも変化が見られました。
よく見ると、こちらで見られる棘がありません。
棘は、食べられないよう身を守るためのもの。
自らを食べる動物がいないので、棘をまとうのをやめたのでしょうか。
高度を上げるにつれ、伊豆七島が遠くに見えてきました。
火口に取り付き、中を見下ろせば蒸気が上がっています。
火山の息吹を感じさせられました。
海を挟んで、富士山が一望できます。
少しは、新年らしい画があげれられたでしょうか。
ここからは一気に高度を下げ、スコリアの台地を目指します。
長くなりましたので、今回はここまで。次回は後半戦です。