木材の特徴 | 目指せ!森林インストラクター。

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日本の山を元気にしたい!
そんな思いから、森の案内人「森林インストラクター」の資格を取りました。

自然は私達に、たくさんのメッセージを投げかけています。
その声は、あまりにも小さく儚いものです。

そんな「森の囁き」を、お伝えします。

最近、急に暑くなりました。ちょっとしんどいですね。



まだ体が暑さになれていないうえ、朝夕の気温差もあります。





考えてみれば、ここ数百年は同じような気象条件だったのでしょうが、人間だけちょこっとわがままになって、空調の利便性に頼りすぎているような気もします。





四季の移ろいに身を委ねる、そんな感性も持っていたいものです。





日本の家は、夏を旨とせよ。



木質・漆喰で引き戸によって間を仕切る建築様式は、まさに夏を主にしたものです。



自然素材をふんだんに使った調湿作用に優れた室内。



緩い部屋の区切りは連続性を持ち、涼風が吹き抜けるのに適しています。





中でも、構造材にしながら特有の空間美を演出する木材には、何か安心感を与えられます。



建築基準法の改正にみられるように、今建築の分野でも木材が見直されています。





木材の特徴として、強度・調湿性・音響性・断熱性・視覚性・吸着能・肌触り等に優れている点が挙げられます。





これらの性能を生み出しているのは、木材の多腔質な構造です。



つまり、スポンジ状に組織が集まって、木材はできているのです。





広葉樹・針葉樹で組織の構成は違いますが、大まかな役割として二つあります。



それは、樹体をさせることと水分・養分の通導を行うことです。



簡単にいえば、ストローを束ねたようなものです。





ここで考えなければならないのは、木材の組織の配列です。



樹木はご存知のとおり、一年ごとに年輪を形成しながら、外へ向かって肥大成長します。



丸太の中心を通る放射断面(みかん割り)には柾目、接線方向に切れば板目が材面に出ます。



そして、長さ方向(軸方向)・板目・柾目では、強度や収縮に差があります。



これを、木材の「異方性」といいます。





軸方向における圧縮への強度が、重量比では鉄よりも木材のほうが大きいのはご存知でしょうか?



特徴としてあげた強度は、この中空な組織と配列が大きく関係します。



丸いホースを想像してみてください。



あれだけフニャフニャなので横から押せば潰れますが、長さ方向にはかなりの力を加なければ縮めるのが難しいですね。





横からの加重も、年輪に直角に加えた場合とそうでない時では強度に差が出ます。



野球の木製のバットには、打撃面に印がしてあります。



あれこそは、強度的に強い年輪方向に使用するための目印なのです。



今度、試しに見てみてください。





断熱性や音響に優れるのも、空隙のおかげです。



隙間に空気を含んでいるので、熱が伝わりにくいのです。



金属や樹脂などの硬質な素材は、触るとひやっとしますね。



これは、表面に触れた瞬間、皮膚から体温を奪われるので冷たく感じるのです。



木材に触れても暖かさを感じるのは、熱が伝わりづらいからなのです。





吸着性については、炭に代表される脱臭剤がそのまま答えですね。



さらに、間隙に微生物が住み着くので、環境浄化に役立つ例もあります。





自然な暖色系の色合いや、不規則な揺らぎの木目のテクスチャーは目にも優しく、リラックス効果も認められています。





なんだかいい事尽くめのような木材ですが、自然素材ならではの欠点もあります。





それは、腐食・収縮(狂い)・可燃であることです。





腐食は木材の製材部位や樹種にもよるので、屋外等の過酷な湿潤環境でなければ対応は可能です。あわせて、虫害に対する注意は必要でしょう。





収縮も乾燥をしっかりすればある程度抑えられますし、それを見込んだ使い方をするのが職人ですので使い方しだいです。





最後の可燃である点も研究が進み、薬剤や化学処理によって不燃・難燃化された木材が公共スペースでは広く使われています。



大型建築などでは大断面集成材による燃え代設計が主流です。



これは、表面が炭になる(炭化する)ことで木材内部への断熱材の役割を果たすのを見込んで、その分を構造計算より大きく設計する手法です。





技術や科学の進歩により、身近なものからスーパーウッドまで、幅広く使われるようになった木材。



次回はもう少し踏み込んだ視点で、木材を見てみたいと思います。







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