昨日は、久々に奥多摩を歩きました。
友人が山の経験が無く、どんなものか体験したいということでご案内しました。
9:30鳩ノ巣、装備の簡単な確認・計画書の提出のあと、登山口まで移動。
準備体操をして体をほぐします。
まずは大楢峠を目指し、出発。
左にキャンプ場・バットレスのある越沢を聞きながら、城山を巻くように等高線に沿って高度を上げていきます。
奥多摩は植林の山、暗い林地を進んでいきます。
自然度が低そうに見えますが、実はギャップやニッチを見るのに適しています。
わずかに聞きかじった野草を眺めつつ、ゆっくりと歩きます。
始めはじっくり歩くのが大切です。
間伐や枝打ちにも話が及びながら、沢から離れ始めると大楢峠への登りが始まります。
だらだら続く登り、我慢のしどころです。糖分をとって回復をはかりましょう。
水分も忘れず、のどの乾かないうちに少しずつ飲みます。
途中雨が降り出したので、レインスーツを着ます。
蒸れるのは仕方ないですが、雨に濡れて体温を奪われるよりはよいでしょう。
やがてナラやカエデの仲間が増え始め、空が見え始めると大楢峠です。
思ったより登りが長く、予定より1時間を過ぎて到着。休憩を入れます。
一息ついて、コンパスと地図を用いた、北を基点に角度で対象を求める方法の実践です。
地形図の見方・コンパスの使い方を説明しながら、実際に分岐点から進む道を確認しました。
そこから御岳山に向け、沢沿いのルートを取ります。植林の合間に広葉樹が増え、徐々に道が明るくなっていきます。
大きく東方向に突き出たカーブで、ちょこっと寄り道。
風の声・鳥の歌を聞きながら、静けさの中で森林浴の効用について考えました。
戦後の拡大造林から切捨て間伐の現状まで、日本の山の現状に踏み込みながらペースを上げます。
いつも使う沢が涸れていて、あてにはしていないながら残念でした。
今年の少雨をしっかりと反映していますね。
等高線沿いに沢を高巻きするように付けられた登山道は、とても気持ちの良いルートです。
広葉樹林を見ながら、極相と植生について考えます。
コースタイムに気を配りながら、時折吹き抜ける風に励まされつつ御岳山を目指します。
大塚山から伸びる尾根が近づき、突き上げるように登りつめれば、表参道にぶつかります。
まだ雨天なので良いのですが、今までの静かな山旅が嘘のような別世界が待っています。
ビジターセンターで休憩がてら情報収集。
回復の見込みはないものの、急激な悪化もなさそうだと判断。
日の出山への縦走へ向かいます。
御岳山の山頂を飛ばしましたが、今回の目的はあくまで山歩き。
時間と天候から山頂までの往復をアルバイトとみなし、カットすることにしました。
自然が相手ですので、不慮の事態による柔軟な対応が常に求められる野外活動。
何を優先するのか、イベントの「目的」をしっかりと持つことが必要だと感じました。
植栽木に守られるように、日の出山への尾根を伝っていきます。
かなりの風が吹いていたはずですが、林内ではさほど感じることなく歩くことができました。
綺麗に枝打ち・間伐をされた林縁に残された、細く枯れ枝だらけの木。
たぶん、林内の優良木を風から守る為の障壁になっているのでしょう。
大きなサクラらしき枯れ木が放置されていました。
枯れ木も山の賑わい、動物たちの餌場であり、棲み処になることを考えてみました。
ムササビ君の気配も感じる林でしたので、イメージが膨らみました。
ここでは見られませんでしたが、森林の階層構造にも話が及びました。
そんな観察をしながら、最後の登り返し。ひと踏ん張りで日の出山山頂です。
雨と風の中、秩父方面では雲が切れて青空がのぞいていました。
あずまやで小休止。
休憩時は、上着をきて風から身を守ります。体温の低下は、体力を奪うからです。
昨年のトムラウシの悲劇は、風と雨の怖さを私たちに伝えます。
速乾性のウェアも大切です。せめてアンダーだけでも、乾きやすい素材を選びましょう。
ここからは、いっきに下っていきます。
雨ならではのツチグリも顔を出し、自然に不思議は尽きません。
沢の音が聞こえるようになれば、ゴールのつるつる温泉はもうすぐです。
汗を流し、今日の振り返り。
山歩きを通じて、自然への接し方を体感していただけたと思います。