6月に入りました。
いよいよ森林インストラクター試験の申し込みが始まります。
去年の今頃、勉強のさなかどうしようか迷いつつも思い切って申し込んだのを思い出します。
この一歩が、今の私につながるものなのは言うまでもありません。たいした者ではありませんが…
一次試験合格通知の感激は、今でもはっきりと覚えています。
樹木は、外へ外へと年輪を重ねる事で成長していきます。
同時に、傷は内へ内へと巻き込みながら、歳月を経ていくのです。
そんな経験の積み重ねが、あの見るものをやさしく包み込むような大樹の風格を生んでいる。
人を、自然を愛する。
つまり、そんな感じなのでしょうか。
老木には、よくウロが開いているのを見かけます。
ぽっかりと開いた口は、小動物のよいねぐらです。
考えてみれば、あれだけの穴が開きながら生えていられるのは不思議なものです。
この謎は、樹木の生長が理由を説明してくれます。
樹木を構成する組織のうち、実際の生命活動を行っているのはごく一部です。
それは、樹皮のすぐ内側に存在する、形成層とよばれる組織です。
この形成層が分裂しながら、外側に樹皮・内側に木質細胞を形成していきます。
高さ方向は、頂部にある成長点が上へと伸びていきます。
ですので、相合傘の落書きは、樹皮の落脱がなければずっと同じ高さにあるのです。
この形成層付近の細胞は生きていますが、年輪を重ねるうちに細胞としては死んでしまいます。
その後もしばらくは養分の貯蔵・通導の役割を果たし、この部分を辺材と言います。
さらにしばらくたつと、養分の通導もやめ、樹体を支える為の組織へと変わっていきます。
これが心材です。
心材になるとき、導管等の穴がふさがれ、色の付いた組織になります。
これは虫害や腐食を防ぐための物質が沈着するからで、「心材化」と呼ばれる変化です。
ですので、外部や湿潤な環境では心材を用いる必要があります。
さらに、一般的には、色の濃い材種のほうが腐食や虫害に強いようです。
心材・辺材がわかったところで、年輪について見てみましょう。
年輪は、日本のような四季のはっきりした気候により、樹木の成長量に差が出る事で生じます。
春から初夏にかけての成長旺盛な時期は、色が薄く巾の広い早材(春材)が育ちます。
対して、夏を過ぎ秋にかけて成長が遅くなる時期には、色が濃く巾の狭い晩材(夏材)が形成されます。
この縞の濃淡が一対となり、年輪を形成しているのです。
心材・辺材と早材・晩材は違うことを指しますので、注意が必要です。
針葉樹と広葉樹の違いは導管でした。
広葉樹は材種により、導管と年輪の配列に違いがあり、材面の印象に大きな違いを与えます。
年輪に沿って導管が並ぶものを環孔材と呼びます。ケヤキ(写真1)やナラ等が代表です。
導管により木目がくっきりと浮かび、おおらかな印象が強い材料です。
写真1
導管が年輪とは関係なく散在するものを、散孔材と呼びます。ブナ(写真2)やカエデ等です。
全体に均質で緻密な材料が多く錦糸光沢を持ち、肌触りも滑らかです。
写真2
導管が放射方向に並ぶものを、放射孔材と呼びます。ブナ科のカシ類などです。
環孔材と散孔材の中間を取ったような印象です。
よく年輪巾が狭い木材は重厚であると言われますが、実は広葉樹には必ずしもあてはまりません。
環孔材の年輪巾が狭かったら、どうなるでしょうか?
ご想像のとおり穴だらけのスカスカな材料になり、よく「糠目材」と呼んだりします。
もちろん加工はしやすいのですが、体力部材にはちょっと使いたくありませんね。
このように、木材を正しく理解する事は、木を使う上で重要な意味を持つのです。