師走に入り、何となく忙しい日々が続きます。
雪の便りも届くようになり、本格的な冬の訪れを感じるようになりました。
そんな年末ムードもどこ吹く風、森ボーイ(?)は山に向かいます。
ぼちぼちと揃えた道具達。なんともリッチな休日です。
まだ新しいヘルメットが朝日に輝いております。
落葉の季節も過ぎ、いよいよ本格的な間伐シーズンに突入です。
成長が止まり、水分の吸い上げが少なくなる冬の間は、木を伐るのに適した時期とされています。
来るべき伐期に向けて・・・というわけでもないのですが、普段のイベントではなかなか触れないチルホールの取り扱いを実習しました。
チルホール自体は商品名で、牽引機と呼ぶそうです。
今回使ったものは、最大500kgまで牽引することができるもので、安全の為、その倍の荷重に耐えるワイヤーを使用します。
前後にレバーがあり、フックの付いたほうが牽引レバー、ワイヤーを伸ばすほうがバックレバーになります。
ここにパイプ状のハンドルを差込み、レバーを前後に動かすことでワイヤーを出し入れします。
バックレバー側は押し込むことでワイヤーを開放する事ができ、さらに内側のピンを利用して固定すると、自由に両手を使ってワイヤーの出を調節することができます。もちろん、初めにワイヤーを通すときも同様です。
ハンドルが刺さっているのが前進レバー、ワイヤーが張っているほうがバックレバー。
自重4kgで最大荷重500kgf
荷重のかかった状態でバックレバーを開放することは、危険なのでやらないで下さい。
作業前にワイヤーのほつれ(キンク)を確認し、スリング共に最大荷重に耐えうるものを使用することも重要です。
ともかく実践ということで、作業に入ります。
この鳩ノ巣フィールドでは、市民参加の森作りを目指し、森作りフォーラム・樹恩ネットワーク、そして私の所属するFIT(森林インストラクター東京会)と地元の方々の協議の元で運営されています。
普段一般の方とは行えない危険の高い作業や、イベントでは手の回りきらないところを、スタッフで整備するのが目的で、その一環としての実習になります。
今回は、沢に倒れこんだ倒木を引き上げ、整理する作業を行いました。
まずチルホール初め、道具を担ぎ上げます。これだけで、一息上がります(笑)。
まずは、倒木を始末する為の棚作りから行いました。
作業の邪魔になる蔓や枯れ木を切り開いて、場所を作ります。
出た材を使って杭を作り、傾斜地に打ち込んでいきます。
これが、なかなか入らない。
ただでさえ岩の多い場所なので、地中の石が邪魔をします。
ようやく場所を見つけ、柵ができたところで昼食です。
午後からは、いよいよ石に埋もれた倒木を引き上げます。
チルホールをアンカーとなる木にスリングで括り付けます。
ワイヤーを開放して、沢へ伸ばして倒木へ。いよいよ牽引開始です。
始め軽かったレバーも、テンションがかかるにつれ重さを増していきます。
片手で上げていたのを、全身を使って体重を加えていきます。
倒木が起きて石を退けたようで、急に楽になりました。
一回の動作で35mm出し入れできますが、思ったよりもワイヤーの動きが大きく感じられました。
藪が払われ、倒木の引き上げられた沢は、ずいぶんと綺麗になりました。
苦労の成果が目に見えるのは、なんとも気持ちのよいものです。
初めての牽引機でしたが、よい経験になりました。
最後に作業の安全について。
反省点として、自分の突飛な行動が周囲に危険を及ぼすことが挙げられました。
スタッフとして指導するということは、自分だけでなく周囲の安全を確保することです。
そのためにも、常に一体となった作業が求められます。
どんなに高い技術を持っていも、集団として作業するときには、かえって足を引っ張ることさえありうるのです。
指導者への道は、遠く厳しいものですね。