昨日、ハチに関する研修へ参加しました。
森林に関わらず、野外活動においてハチの被害は付き物で毎年30名前後の死者が出ています。
日本で有数の有害有毒生物であるといってもよいでしょう。
とはいえ、どこにでもいるのも事実。
いかに防ぎ、また刺されたときはどう対処すればよいのかを学んでおく必要があります。
日本にいるハチは4000種を越えるそうで、その中で攻撃的かつ危険なのは、主にスズメバチ科です。
そのなかで、スズメバチ14種・アシナガバチ9種が本州で見られます。
スズメバチは、腹部が丸みを帯びて鉄砲玉のような形をしています。
巣は外皮により覆われて中は見えず、比較的大型で20~100cmになるものもあります。
活動期間は長く、5月上旬~中旬に営巣し、11月頃まで活動します。
アシナガバチのほうは、比較的スマートな印象です。
文字通り脚が長く、垂らして飛んでいる姿がみられます。
巣は小型で、覆いはなく中が見える15~20cmぐらいの巣を作ります。
4月上旬ごろに営巣を始め、9月頃まで活動します。
どちらにも言えるのは、巣は一年で放棄され、秋に生まれる新女王バチのみが越冬します。
春になると、越冬を終えた女王バチが巣を作り始めます(単独営巣期)。
やがて働きバチが羽化し、共同で巣を大きくしていきます(共同営巣期)。
やがて巣作りと採餌活動・子育ては働きバチに委ね、女王バチは産卵に専念します。
ちなみに働きバチですが、みんなメスのハチです。
共同営巣期の後半、新女王バチと生殖のための雄バチが生まれます。
やがて交尾の後、新女王バチは古巣を出て土中や朽木で越冬に入ります。
ですので、まだ今の時期は働きバチも少なく、比較的大人しい時期です。
危険なのは、共同営巣期に入って巣が発達してから。
さらに、女王バチ誕生の時期には働きバチも気性が荒くなります。
いずれにしても、こちらが要因を作らない限りは彼らも攻撃をしてくることはありません。
ハチが刺すにも理由があります。その理由をあげてみます。
まず、巣に近づくのが一番駄目なパターンです。段階を踏んで威嚇、攻撃をしてきます。
巣への接近を感じると、ハチは巣の外へ出てこちらを見ながら飛び回ります。
さらに近づくと、ハチが近づいてきて威嚇行動を取り始めます。オオスズメの顎で出す警戒音は有名ですね。
この時点では、ハチを刺激しないようにじっとしているか、巣とは反対方向へゆっくり後ずさりします。
特に横方向の動きには敏感なので、絶対に手で払うことはやめてください。
警告を無視して近づくと、刺されます。その場でじっとしていると集団で襲ってくるので、一刻も早く逃げましょう。
警報フェロモンにより、次から次へと巣から新手が出てきます。
直接巣に刺激を加えると…総攻撃されますね。文字通り、蜂の巣をつつく騒ぎです。
時に数十メートル追われることもありますが、とにかく逃げ切ることです。
アシナガは葉の裏や茂みの中、スズメは地中等にも巣を作ります。
近づかないことが大切ですが、目立たない場所が多いので周囲の気配にも気を配りましょう。
ハチが出入りしているようなところがあれば、要注意です。
餌場を縄張りとするものもいるので、樹液などに集まるハチにも近づかない方が無難です。
香の強い化粧品・整髪料も控え(匂いと言えば、から揚げにも寄って来るそうです)、服装も黒っぽいものは避けましょう。
頭部や眉毛も黒いので刺されやすく、帽子などで保護した方がよいでしょう。日よけにもなるので、必需品ですね。
無益な争いは、避けるに越したことはありません。
ハチの棲み処にお邪魔するつもりで、謙虚に自然と向き合うことが大切です。