Nスペ 『狂気の戦場 ペリリュー ~”忘れられた島”の記録』 を観ました。
番組公式サイト:
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0813/index.html
フィリピンの東800キロに位置するパラオ諸島の小島ペリリュー。
「地球最後の楽園」と呼ばれる珊瑚礁の美しいこの島で、70年前、日米両軍は死闘を繰り広げた。
あまりに多くの犠牲者を出した過酷な戦場であったため、米国でもほとんど語られず、”忘れられた戦場”となった。
パラオ諸島の小島・ペリリューの位置はこちら↓
パラオ観光局 パラオガイドより
http://palau.or.jp/index.html
なぜこのような小島で大規模戦闘が起こったのか?
それは、ペリリューに「飛行場」があったから。
フィリピン・レイテ島攻略を目論むアメリカは、直接爆撃可能な発信基地としてペリリューを欲したのだ(ちなみに南西のアンガウル島は10月に陥落、日本軍の死者1千名)。
米国は、1万7千人の海兵師団を派遣、師団長のルパータス少将は、「三日で制圧する」と豪語する。
一方、「絶対国防圏」を突破され、もう後がない日本は、関東軍の精鋭1万人を送り、守備隊とした。
1944年9月15日、米軍は、西側の海岸から上陸作戦を開始。
数時間で目標の飛行場を制圧、日本軍の戦車24両も全滅させたものの、平野部で砲撃や狙撃にさらされた米軍海兵隊は、多くの死者を出す。
(三日間の戦いでの戦死者は、日本軍2400名、米軍2000名以上)
「なぜ日本軍は”バンザイ突撃”をしてこないのだ?」
米軍は戸惑う。これまでの日本軍の”玉砕戦法”を想定したからこその「三日間で制圧」だった。
実はこの時、大本営の戦術方針が変更されており、守備隊長・中川大佐は、「突撃は許さず、持久戦に徹すべし」と厳命されていた。
中川大佐はそれに従い、500箇所以上のトンネル陣地を張り巡らせ、島全体を要塞化する。
ここからゲリラ戦が始まる。
見えない場所から日本軍の狙撃や切り込みに遭い、米軍は混乱する。
どこが前線なのかも分からない。
両軍の兵士は、いつ死ぬかもしれないという恐怖で神経をすり減らす。
上陸から二週間、犠牲者5000人を越えた米軍は、最新兵器を投入する。
100メートル先まで届く「火炎放射器」と、航空機の「ナパーム弾」爆撃は、岩山に篭もる日本兵を容赦なく焼き殺した。
新兵器による被害は甚大で、日本兵の死者は9000名に達していた。
10月でも40度を越える常夏の島・ペリリュー。
遺体が散乱し、耐え難い悪臭が島全体に漂う。
持久戦が始まり50日が経過。
水も食料も弾薬も尽きた日本軍は、300名になっていた。
中川大佐は大本営に「玉砕」を申し出るが、却下される。「国民の士気高揚のため、持久戦を続けるべし」と。
補給も援軍もなく、かといって戦局を変える手段もない。
まさに、本国から”見捨てられた部隊”となった中川守備隊だが、最後まで米軍を苦しめた。
米軍上陸から71日経過、「状況切迫、陣地保持は困難に至る」と打電した後、中川はついに自決する。
こうして計74日に及んだペリリューの戦いは終わった。日本軍の生存者は30数名(死亡率99.7%)という悲惨なものだった。
初めて持久戦を経験した日米両軍は、この後、「硫黄島の戦い」、「沖縄戦」にそれぞれの戦術を引き継いでいく・・・そして悲劇がまた繰り返された。
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私がNHKに期待するのは、こういう番組です。
(ドキュメント制作部は、まだまだ捨てたもんじゃない!報道部はダメだけど。。。)
米国で見つかった戦時フィルム(当初はプロパガンダ目的)を元に、日米の元兵士たちのインタビューを交えながら当時の状況を再現していくので、リアリティ抜群だった(カラー映像の一部はグロテスクなものも)。
元日本兵は、「目の前で話していた戦友が、あっという間に死体になる」、(身内の処刑を)「人間じゃなく、動物を殺す感覚ですよ」と話す。
勝った側の元米兵も、「あの戦場の出来事を忘れたことはこの70年、一日もない。あの日から時間が止まっているのだ」と話す。
これが、「戦争の実体」です。
普段は優しいお父さんやお兄さん、旦那さんが、「鬼畜」になるのが戦場です。
「日本軍は規律正しい軍隊で、残虐行為はなかった」
などと、綺麗事を言える状況であろうはずがない。
軍上層部や新聞記者たちは、己は安全な場所にいて、
このような”戦争の実体”を国民に知らせず、戦争を煽っていたのです。
現在も同じ。一部の政治家や右翼の連中は、
「いつでもかかって来い!」とばかりに戦争を煽ります。
こういう番組を観て、一人でも多くの国民に、「戦争の愚かさ」に気づいてほしいと願います。
特に、日本の未来を担う若者たちに。
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動画がアップされているようです。
とらちゃんの動画大集合
http://blog.livedoor.jp/hanatora53bann-tanosiiburogu/archives/51936751.html
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