前々回の記事:「あの鉄矢が、あの状況で、あんなこと言いませんから!」のつづき。
テレビでも映画でも、
登場人物たちと、視聴者では「見るものが違う」のはお分かりいただけるだろう。
大抵の場合、視聴者の方よく知っている。
最初から話の顛末を見ているので、登場人物たち以上に状況を理解している。
「あぁ~何でそうなるの?」とか、「それ誤解だよ!あの人はそんなつもりで・・・」とか、よくある。
で、今回の善行(鉄矢)のベッドでのシーン。
視聴者の大半は、ここで善行が死ぬと分かっていた(予告済みだった)。
ただし状況的に見て、善行本人が「死」を認識しているわけではない。というか分かるはずがない。
なのに、善行が最初から死ぬ気満々だったのはおかしいだろう。(゚ ロ ゚ ; )
●当時の鉄矢(善行)の心情を考えてみよう。
善行は、晴海を見つけ喜んだものの、海へ落ちた晴海を助けようと飛び込み、すぐに意識を失った。
「ああ、俺は死ぬかも」と、この時は思ったかもしれない(普通は溺死する)。
病院に搬送され意識が戻った。目の前にイトシがいて「晴海は無事だ」と言う。
この時、善行が、一番に考えたことは何だろうか?
・自分は、(一時的にせよ)まだ生きている。
・妻が無事だった事への安堵感。 この二つが真っ先に頭に浮かぶはずだ。
⇒何とか生きて、妻を連れて宮古島へ戻ろう。その為のお金は愛パパから借りた。
残りの人生は妻に捧げるつもりで、死ぬ気で尽くす。どんな仕事だってやる。
(痴呆症の)妻は、俺が守ってやる!今まで迷惑を掛けたのだから・・・
その決意で晴海を追いかけて海岸に行ったのだ!(゚ ロ ゚ ; )
●ところが目覚めた善行は、まるで別人になったかのような台詞(イトシの通訳)を言う。
・純への謝罪、その言い訳、純の生き方の憧れ、感謝
・イトシへの感謝、純との結婚を認め、讃える
・ナースを呼ぼうとするイトシを全力で止める
⇒意識を取り戻したばかりなのに、すでに「死ぬ気満々」。
自分が生きる事よりも、純とイトシへの謝罪・反省・感謝を遮二無二言おうとする。
海に落ちて、頭でも打ったんでしょうか?善行。
妻への想いとか、すっかり忘れちゃってますね (´・ω・`)
・家族一人ひとりに対し、「遺言」を言う。
・周りの家族も、善行が「生きること」よりも、「死ぬ」のを前提に接している。
⇒現時点で病状を把握しているのは「家族」だけで、善行は知らない。
・純以外の皆に遺言して、善行は「まるで予定通り」に死ぬ。
・それを待っていたかのように、医師と看護師が入室し、死亡を確認する。
最後の瞬間まで、「生きる」ように励ますのが、家族ではないのか!(゚ ロ ゚ ; )
この場面、非常に不自然だったので、多くの視聴者は違和感を覚え、白けてしまったのだろう。
●ポイントは、
1.善行が、最初から「死ぬ気満々」で、「生きること」を放棄している事。
2.イトシがイタコ芝居をして、時間稼ぎした事。
3.家族皆が、「死」に至った事故原因については一切疑問を抱かない事。
4.善行が、家族を信頼した「良い人」となり、晴海のことを「安心して」任せている事。
1.については、善行の直前の言動から考えて、辻褄が全くあわない。
2.については、イトシの超能力についての制作者の言い訳だが、同時にドラマの破綻要因。
3.については、事故の原因を作った純を責めない不自然さ。
4.については、まるで「普通の家族」のよう。「崩壊してバラバラの家族」だったからこそ惨事が起きたのに。
また、この時点で、「善行が晴海と宮古島でやり直すこと」を知っているのはイトシただ一人。
他の家族達は、善行の”想い”を知らないのだ。
・三兄弟達は、善行に「離婚届」を突きつけたまま、和解していないこと。
・特に純は、「二度と顔を見せるな!」と絶縁宣言をしていたこと。
・善行にしろ、三兄弟達を信頼していたとは考えられず、無念さがあっただろうこと。
いくら、死に際とはいえ、都合良く「急に物分りが良くなった」家族達。
(正とマリヤにとって、イトシの能力は”初披露”なのに、すんなり受け入れているのも変だ)
武田鉄矢は言う、「人は原因と結果をはきちがえる・・・」と。
その「人」とは、まさしく脚本家・YU川のことを指すのではないか。
こんな支離滅裂、本末転倒な筋書きで、誰が感動などするというのか。。。。
善行(武田鉄矢)の死は、まさに「無駄死に」。
「純とイトシ」アゲのための、単なる”コマ”扱いだった。( ̄□ ̄;)!!
「死」は、人間にとって最も重要な区切りであり、軽々しく扱ってはならないのは世界共通の認識なのに。
登場人物達の「心情」、人間が本来持っている「感情」を、もう少し丁寧に描いていれば、
ここまで視聴者に不快感を与える事はなかっただろう。
役者達は、都合良く、場当たり的な台詞を言わされているだけ。
人間としての感情すら持たされず、指示通り動かされるまるで紙人形のように薄っぺらい存在。
「ここで”お涙頂戴”お願いしま~す・・・ハイ、カーット!OKで~す。オツカレサマ~アハハ♪」という現場の笑い声がこちらに聞こえるようだ。
イトシのデタラメな”超能力”で安易な解決を図ったり、
韓流ドラマばりのエグイ描写をどれだけ盛り込んでも、日本人には伝わらない。
もっとマシなやり方は、他にいくらでもあったと思うぞ!(`・ω・´)
以上。
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