『純と愛』その76 感情不在 | 日本の未来を考える

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旧ブログ名:NHK朝ドラ『梅ちゃん先生』、『純と愛』批判をメインにしたブログ。リンクはご自由にどうぞ。

前々回の記事:「あの鉄矢が、あの状況で、あんなこと言いませんから!」のつづき。


テレビでも映画でも、

登場人物たちと、視聴者では「見るものが違う」のはお分かりいただけるだろう。


大抵の場合、視聴者の方よく知っている。

最初から話の顛末を見ているので、登場人物たち以上に状況を理解している。

「あぁ~何でそうなるの?」とか、「それ誤解だよ!あの人はそんなつもりで・・・」とか、よくある。


で、今回の善行(鉄矢)のベッドでのシーン。


視聴者の大半は、ここで善行が死ぬと分かっていた(予告済みだった)。

ただし状況的に見て、善行本人が「死」を認識しているわけではない。というか分かるはずがない。


なのに、善行が最初から死ぬ気満々だったのはおかしいだろう。(゚ ロ ゚ ; )


●当時の鉄矢(善行)の心情を考えてみよう。


善行は、晴海を見つけ喜んだものの、海へ落ちた晴海を助けようと飛び込み、すぐに意識を失った。

「ああ、俺は死ぬかも」と、この時は思ったかもしれない(普通は溺死する)。

病院に搬送され意識が戻った。目の前にイトシがいて「晴海は無事だ」と言う。


この時、善行が、一番に考えたことは何だろうか?


・自分は、(一時的にせよ)まだ生きている。

・妻が無事だった事への安堵感。  この二つが真っ先に頭に浮かぶはずだ。


⇒何とか生きて、妻を連れて宮古島へ戻ろう。その為のお金は愛パパから借りた。

 残りの人生は妻に捧げるつもりで、死ぬ気で尽くす。どんな仕事だってやる。

 (痴呆症の)妻は、俺が守ってやる!今まで迷惑を掛けたのだから・・・


その決意で晴海を追いかけて海岸に行ったのだ!(゚ ロ ゚ ; )


●ところが目覚めた善行は、まるで別人になったかのような台詞(イトシの通訳)を言う。


・純への謝罪、その言い訳、純の生き方の憧れ、感謝

・イトシへの感謝、純との結婚を認め、讃える

・ナースを呼ぼうとするイトシを全力で止める


⇒意識を取り戻したばかりなのに、すでに「死ぬ気満々」。

 自分が生きる事よりも、純とイトシへの謝罪・反省・感謝を遮二無二言おうとする。


海に落ちて、頭でも打ったんでしょうか?善行。

妻への想いとか、すっかり忘れちゃってますね (´・ω・`)


・家族一人ひとりに対し、「遺言」を言う。

・周りの家族も、善行が「生きること」よりも、「死ぬ」のを前提に接している。


⇒現時点で病状を把握しているのは「家族」だけで、善行は知らない。


・純以外の皆に遺言して、善行は「まるで予定通り」に死ぬ。

・それを待っていたかのように、医師と看護師が入室し、死亡を確認する。


最後の瞬間まで、「生きる」ように励ますのが、家族ではないのか!(゚ ロ ゚ ; )


この場面、非常に不自然だったので、多くの視聴者は違和感を覚え、白けてしまったのだろう。


●ポイントは、

1.善行が、最初から「死ぬ気満々」で、「生きること」を放棄している事。

2.イトシがイタコ芝居をして、時間稼ぎした事。

3.家族皆が、「死」に至った事故原因については一切疑問を抱かない事。

4.善行が、家族を信頼した「良い人」となり、晴海のことを「安心して」任せている事。


1.については、善行の直前の言動から考えて、辻褄が全くあわない。

2.については、イトシの超能力についての制作者の言い訳だが、同時にドラマの破綻要因。

3.については、事故の原因を作った純を責めない不自然さ。

4.については、まるで「普通の家族」のよう。「崩壊してバラバラの家族」だったからこそ惨事が起きたのに。


また、この時点で、「善行が晴海と宮古島でやり直すこと」を知っているのはイトシただ一人。

他の家族達は、善行の”想い”を知らないのだ。


・三兄弟達は、善行に「離婚届」を突きつけたまま、和解していないこと。

・特に純は、「二度と顔を見せるな!」と絶縁宣言をしていたこと。

・善行にしろ、三兄弟達を信頼していたとは考えられず、無念さがあっただろうこと。


いくら、死に際とはいえ、都合良く「急に物分りが良くなった」家族達。

(正とマリヤにとって、イトシの能力は”初披露”なのに、すんなり受け入れているのも変だ)



武田鉄矢は言う、「人は原因と結果をはきちがえる・・・」と。


その「人」とは、まさしく脚本家・YU川のことを指すのではないか。


こんな支離滅裂、本末転倒な筋書きで、誰が感動などするというのか。。。。


善行(武田鉄矢)の死は、まさに「無駄死に」。


「純とイトシ」アゲのための、単なる”コマ”扱いだった。( ̄□ ̄;)!!

「死」は、人間にとって最も重要な区切りであり、軽々しく扱ってはならないのは世界共通の認識なのに。


登場人物達の「心情」、人間が本来持っている「感情」を、もう少し丁寧に描いていれば、

ここまで視聴者に不快感を与える事はなかっただろう。


役者達は、都合良く、場当たり的な台詞を言わされているだけ。

人間としての感情すら持たされず、指示通り動かされるまるで紙人形のように薄っぺらい存在。


「ここで”お涙頂戴”お願いしま~す・・・ハイ、カーット!OKで~す。オツカレサマ~アハハ♪」という現場の笑い声がこちらに聞こえるようだ。


イトシのデタラメな”超能力”で安易な解決を図ったり、

韓流ドラマばりのエグイ描写をどれだけ盛り込んでも、日本人には伝わらない。


もっとマシなやり方は、他にいくらでもあったと思うぞ!(`・ω・´)


以上。


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