母からもらった腎臓~生体間移植を体験して~ 過信した「偉丈夫」 発症後も受診せず 倉岡 一樹・東京地方部記者
毎日新聞 2020年5月20日
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20200519/med/00m/100/003000c
私には腎臓が三つある。
生まれ持った二つは機能していない。命綱は残りの一つ。母が「生きなさい」と、私にくれた。
夫であり父親である私は、老いた母の「一人の体じゃない」という言葉に、生体腎移植手術を決意した。
思えば、慢性腎臓病の発症から3年余がたつ。家族や友人や同僚らの支えで職場に復帰できた。1300万人とも言われる同じ病気の方々の参考に少しでもなれば、と書きためた日誌を開いた。
「お前、体が変だぞ」
睾丸が膨れ上がり、歩くことが困難に
球団広報に「早く病院に」
さらに悪化 しかし受診せず
体の複数箇所がむくむのは「赤信号」
腎臓
腰の上の背中側に、左右ひとつずつある。大きさは握りこぶしほどで、形は空豆に近い。働きは、尿をつくる(体内の老廃物の除去、水分量の調節・ナトリウムやリン、カルシウムなど体内バランスの調節)▽血圧を調整する▽骨を作るのに重要なビタミンDの活性化▽赤血球を作るホルモンをつくる--など。障害が起きていても機能が相当低下するまで自覚症状が表れないため「沈黙の臓器」とも呼ばれる。
慢性腎臓病
腎臓には全身の血液が流れ込む。その血液から老廃物をろ過して尿を作る腎臓の糸球体が壊れ、機能が低下する病気。慢性腎不全とも呼ばれる。一度失った腎機能は回復しない。慢性腎臓病が進行して機能がほとんど失われる「末期腎不全」になると、人工透析か移植のどちらかで腎機能を代替しなければならなくなる。生活習慣病(糖尿病や高血圧など)や、メタボリックシンドロームとの関係も深い。患者数は1300万人程度いるとみられる。CKD(chronic kidney Disease)とも呼ばれる。
検視遺体のPCR検査を 日本法医病理学会が要請 依頼した半数が断られ
毎日新聞2020年5月20日 08時00分(最終更新 5月20日 08時00分)
https://mainichi.jp/articles/20200520/k00/00m/040/001000c
遺体の検視をする医師らが所属する「日本法医病理学会」は、新型コロナウイルスの検視スタッフや遺族への感染を防ぐため、感染が疑われる遺体のPCR検査を求めている。同学会が実施した調査によると、大学の法医学教室などが保健所に依頼した遺体のPCR検査23件のうち半数の12件が断られていた。学会は「コロナ感染症の正しい死亡率を把握するためにも検査拡充が必要」と訴えている。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】
コロナ禍:検証 安倍政権 初の国家危機 お友達内閣の限界
毎日新聞 2020年5月20日 05時00分(最終更新 5月20日 07時14分) サンデー毎日
https://mainichi.jp/sunday/articles/20200518/org/00m/010/002000d
<惰性と弥縫策 消えない「無能政権」のらく印 「滞貨一掃」があだ>
試される「裸の実力」
危機は為政者の「裸の実力」を白日の下にさらす。コロナ禍もそうだ。では、安倍晋三首相の「実力」は、どう評価すればいいのか。数々の宰相を見つめてきたノンフィクション作家が、歴代最長政権における危機管理のあり方やコロナ対応の現状と今後を探る。
新型コロナウイルスの国内感染の初確認は1月15日だった。その8日前の7日、2度目の政権で8年目を迎えた安倍晋三首相は都内での新年互礼パーティーであいさつし、「桃栗三年、柿八年。秋には柿の収穫を」と得意満面で述べた。
首相は2019年7月の参院選で衆参選挙6連勝を遂げ、10月に予定どおり消費税率10%も実施した。11月には第1次内閣と合わせた通算在任日数で史上単独1位に躍り出た。
3期目の自民党総裁任期は21年9月までで、20年1月、歴史に名前を刻む政治的遺産(レガシー)作りを視野に、まず「秋に柿の収穫を」と意気軒高だった。世界的なコロナの蔓延(まんえん)で、2カ月後から空前の国家的危機が襲うとは、夢にも思わなかったに違いない。
感染拡大前、首相は4月に予定されていた中国の習近平国家主席の国賓来日、7月開幕の夏季五輪東京大会、8月の連続在任新記録を実現して政権の仕上げを、と想定していたはずだ。だが、政権運営計画は白紙撤回を余儀なくされた。
3月5日に習主席来日の見送り、24日に東京五輪の1年程度の延期が決まる。4月7日には7都府県を対象に緊急事態宣言を発し、16日に対象地域を全国に拡大した。政府は5月14日、8都道府県を除いて、感染拡大に一定の歯止めがかかったと見られる39県について、宣言解除を発表した。
後藤田長官の起用 乗り切った中曽根
海外過激派のテロ 菅氏軸に切り抜け
「長期」独自色失(う)せ 非常事態に初遭遇
「裸の首相」を反映 国際協力存在感を
現体制に終止符を 問われるのは覚悟
週刊エコノミスト・トップストーリー 岩井克人氏が語る「コロナ危機」と新自由主義の終幕 エコノミスト編集部
毎日新聞 2020年5月20日
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20200519/biz/00m/020/015000c
世界で猛威を振るう新型ウイルスは、資本主義のあり方に変化をもたらすのか。週刊エコノミスト5月26日号の巻頭特集「歴史でわかる経済危機」より、貨幣論の第一人者、岩井克人・東京大学名誉教授へのインタビューをお届けする。(聞き手=エコノミスト編集部・浜田健太郎/岡田英)
米国は日本を反面教師に
ハイパーインフレの可能性も
検証・院内感染 「感染メカニズムがよく分からず対策甘かった」 患者、職員感染相次ぎ判明
毎日新聞2020年5月20日 09時00分(最終更新 5月20日 09時37分)
https://mainichi.jp/articles/20200519/k00/00m/040/244000c
新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した福岡市早良(さわら)区の福岡記念病院が18日、約1カ月半ぶりに外来診療を全面再開した。4月2日の最初の感染確認からこれまでに感染が判明したのは、患者と家族の14人と職員23人の計37人。病院関係者への取材を進めると、感染対策の甘さを突く形でウイルスが侵入し、院内に広がっていった状況が明らかになった。
病院では4月2日に男性看護師の感染が確認されたのを皮切りに、翌日から患者や職員の感染が相次いで分かった。全国的には当時、既に院内感染が問題になっており、多くの病院は面会を制限するなど感染対策に腐心していた。
院長、PCR検査結果前に急患受け入れは中止
福岡記念病院のクラスター発生の経緯
4月1日 男性看護師がせき、発熱で受診
2日 男性看護師の感染判明。外来休止
3~15日 職員と患者ら計27人の感染判明。院内感染は一時収束
24日~5月14日 院内感染第2波。コロナ病棟担当の看護師ら6人と患者3人の感染判明
18日 外来全面再開
※病院への取材による
巣ごもり、骨が危ない ビタミンD不足注意 短時間の日光でも必要量
毎日新聞2020年5月20日 10時43分(最終更新 5月20日 12時43分)
https://mainichi.jp/articles/20200520/k00/00m/040/058000c
新型コロナウイルスの感染を防ごうと、外出自粛などで日光を浴びる機会が減ることについて、専門家が懸念を示している。日光には骨を丈夫にするビタミンDの生成に欠かせない紫外線が含まれているからだ。日本では男女ともに全世代でビタミンDが不足していると言われており、専門家は適度に日光を浴びるよう勧めている。
ビタミンD欠乏の目安
ツイッター世論、うねりを生んだ「被害者意識の共有」
朝日新聞 2020年5月20日 11時19分
https://www.asahi.com/articles/ASN5N3CLDN5NUTIL001.html?iref=comtop_8_01
今国会での成立が見送られた検察庁法改正案を巡っては、ツイッターで抗議のうねりが生まれた。うねりはどのようにして広がり、成立見送りをどう受け止めているのか。政府は次の国会での成立をめざすが、一連の動きについて、見通しの甘さを指摘する声も出ている。
「小さな石をたくさん投げたら山が少し動いた。冷静に誰が何を言い、どんな行動を取るのか見守りたい」。改正案の成立が見送られた翌19日、俳優の小泉今日子さんは、ツイッターにこう投稿した。「#検察庁法案に抗議します」というハッシュタグ(#)付きのコメントを何度も投稿した著名人の一人だ。
「日本の検察官よ、怒るべきだ」池上彰さんが憂える答弁
朝日新聞 2020年2月28日 11時30分
https://www.asahi.com/articles/ASN2X34K1N2VUPQJ00W.html?iref=comtop_fbox_d1_01
池上彰の新聞ななめ読み
新型コロナウイルスをめぐるニュースが連日報じられています。仕方のないことではありますが、その陰に隠れて大事なニュースの扱いが小さくなっていないか心配です。
私が気になっているのは東京高検(東京高等検察庁)のトップである黒川弘務検事長の定年延長を安倍内閣が決めたことです。
これについて朝日新聞は2月4日付朝刊で取り上げました。
〈政府が東京高検の黒川弘務検事長(62)の定年延長を決めたことが波紋を広げている。安倍政権との距離が近いとされる黒川氏が、検察トップの検事総長に就く可能性が残ったことになる〉
この記事だけでは、定年延長がどのような意味を持つのか、いまひとつピンときません。朝日もこれ以降、続報を掲載することで、徐々に異例の決定の意味がわかってくるのですが。できればこの時点で詳細な構図を示してほしかったところです。
蔡総統、中国と対等な対話呼びかけ…2期目の就任演説
読売新聞 2020/05/20 12:32
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200520-OYT1T50186/
【台北=杉山祐之】台湾の蔡英文総統(63)の2期目の就任式が、20日、台北市で行われた。蔡氏は宣誓後の就任演説で、「(台湾海峡の)対岸と対話を行いたい」と述べた上で、中台関係について「和平、対等、民主、対話」という四つの基本的立場を表明した。中国に対等な対話を呼びかけたものだ。
蔡氏はまた、「両岸(中台)関係の平和と安定を守る政策は変わらない」と強調、「台湾独立」の動きを警戒する中国を強く刺激しかねない法改正などは自制する考えを示した。中国に武力行使の口実を与えない蔡氏の慎重な姿勢は、2期目も継続される。
コロナ対応、主役は知事…吉村・小池氏に「政治的なアピール」批判も
読売新聞 2020/05/20 11:22
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200520-OYT1T50142/
新型コロナウイルス対策で、都道府県知事の積極的な発信が目立っている。独自施策や国への政策提言を次々と打ち出し、メディアへの露出も増えている。知事にスポットが当たるのはなぜか。
◆フォロワー急増
◆「アピールの場」
◆幅広い裁量
関西「宣言解除」有力、東京・神奈川は基準上回る…あす判断
読売新聞 2020/05/20 08:47
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200520-OYT1T50080/
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を巡り、政府は、宣言継続中の8都道府県について21日に解除の可否を決める方針だ。生活圏が重なる地域は一体的に判断する予定で、解除基準を満たしている関西の3府県(大阪、京都、兵庫)は政府内で解除が有力視されている。一方、東京都や神奈川県は新規感染者数が解除の目安を上回っている。
政府は今月14日に39県の宣言を解除。現在は北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の8都道府県で宣言を継続している。
10万円オンライン申請でミス多発、6割に不備…市が郵送に一本化
読売新聞 2020/05/19 14:46
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200519-OYT1T50185/
新型コロナウイルス対策で一律給付される1人10万円の特別定額給付金について、高松市は19日、マイナンバーカードを使ったオンライン申請を25日から中止すると発表した。申請に不備が多く、確認作業に時間がかかっているためで、郵送での申請に一本化する。
県境を震源に有感地震が1か月で136回…気象庁、しばらく注意を
読売新聞 2020/05/20 07:31
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200520-OYT1T50138/
岐阜県飛騨地方と長野県中部の両県境を震源とする地震が19日に相次ぎ、未明~午後11時に計36回の有感地震(震度1以上)を記録した。両県境を震源とする有感地震は4月22日~5月19日午後11時に136回確認されており、気象庁は断層帯や火山活動につながる動きはないものの、今後しばらくは地震が続くとして注意を呼びかけている。
布マスク、1450万枚配布完了 菅官房長官
時事通信 2020年05月20日12時32分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052000543&g=cov&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
菅義偉官房長官は20日の記者会見で、政府が配布している布マスクについて、18日時点で13都道府県において約1450万枚の配布が完了したことを明らかにした。その上で、「(布マスクが)東京などに届き始めてから、店頭での品薄状況も徐々に改善され、価格も反転したので非常に効果があった」と強調した。
宣言解除、圏域ごと判断を 新型コロナで提言案―全国知事会
時事通信 2020年05月20日13時07分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052000148&g=pol&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
全国知事会のテレビ会議で発言する飯泉嘉門会長(徳島県知事)=20日午前、徳島県庁
全国知事会(会長・飯泉嘉門徳島県知事)は20日、テレビ会議で新型コロナウイルス緊急対策本部を開き、国への提言案を大筋でまとめた。21日にも可否が判断される緊急事態宣言の解除に関し、首都圏1都3県と関西圏2府1県は、それぞれ一体的に扱うことを求めた。
今年の世界成長「マイナス5%」 コロナ打撃で過去最悪―マルパス世銀総裁
時事通信 2020年05月20日10時40分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052000255&g=int
【ワシントン時事】世界銀行のマルパス総裁は19日、今年の世界全体の経済成長率が「マイナス5%に落ち込む可能性がある」と警鐘を鳴らした。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化で、世銀が統計を取り始めた1961年以降で最悪となる可能性に言及した。
「光州事件」40年、韓国の癒えない傷
時事通信 2020年05月19日13時06分
https://www.jiji.com/jc/article?k=20200519040081a&g=afp
【光州AFP=時事】チェ・ジョンジャさんが夫の姿を最後に見たのは、40年前だ。夫は、韓国南部・光州で民主化を求める民衆のデモを戒厳軍が武力鎮圧した「光州事件」のさなかに行方が分からなくなった。数百人が犠牲になったとされるこの事件は、今なお韓国の政治精神に傷跡を残している。(写真は光州の自宅で、「光州事件」の際に行方不明になった父親の唯一残った写真を見せるチェさんの息子)
抗マラリア薬の服用に「無責任」 バイデン氏が米大統領を批判
共同通信 2020.5.20 11:50
https://www.47news.jp/news/new_type_pneumonia/4829352.html
【ワシントン共同】米大統領選の民主党候補指名を確実にしているバイデン前副大統領は19日、新型コロナウイルス感染症の予防として抗マラリア薬を服用しているトランプ大統領に対し、まねをした国民が副作用で危険に陥りかねないとして「完全に無責任だ」と批判した。オンライン会合で語った。
三菱UFJ、店舗数を4割減に 23年度末、アプリを充実
共同通信 2020/5/20 11:43 (JST)5/20 13:14 (JST)updated
https://this.kiji.is/635669095955956833?c=39546741839462401
三菱UFJフィナンシャル・グループは20日、三菱UFJ銀行の店舗数を2023年度末に300程度にする計画を明らかにした。17年度末の515と比べて40%減となる。スマートフォンアプリの機能を充実させてインターネットバンキングの利用者を増やし、運営経費のかかる店舗を段階的に減らす。
当初の計画では20%減としていたが、1年前には35%減に修正していた。低金利の長期化による国内業務の収益力低下や来店者数の減少などを踏まえ、削減幅をさらに拡大することで経費削減を徹底する。
治療薬アビガン、有効性示せず 月内承認への「前のめり」指摘
共同通信 2020.5.19 23:58
https://www.47news.jp/news/new_type_pneumonia/4827439.html
新型コロナウイルス感染症の治療薬候補アビガンを巡り、国の承認審査にデータを活用できると期待された臨床研究で、明確な有効性が示されていないことが19日、分かった。複数の関係者が共同通信に明らかにした。感染した著名人がアビガンの投与後に回復したと公表し、安倍晋三首相は「5月中の承認を目指す」とするが、現時点で薬として十分な科学的根拠が得られていない状況だ。
ソウルで慰安婦少女像の顔を損壊 韓国警察、容疑の20代男逮捕
共同通信 2020/5/20 11:31 (JST)5/20 11:39 (JST)updated
https://this.kiji.is/635665381820728417?c=39546741839462401
【ソウル共同】聯合ニュースによると、韓国警察は20日、ソウル市内にある慰安婦問題を象徴する少女像を傷つけたとして20代の男を逮捕した。少女像は日本大使館前にあるのとは別のもの。男は同日朝、少女像の顔の部分など2カ所を石で破損させ、制止しようとした男性に対して暴力を振るった疑いがある。
中洲の女帝「夜の街は死なん」 “一流”を見た50年…コロナで感じた情
西日本新聞 2020/5/20 10:00 (2020/5/20 14:15 更新)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/609602/
全国39県で新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言は解除されたものの、繁華街がコロナ前のにぎわいを取り戻せるかは見通せない。そんな中で「夜の街は死なん」と力強く語る女性がいる。九州最大の歓楽街、福岡市・中洲で「女帝」と呼ばれ、多数の財界人や芸能人らを顧客に抱える高級クラブ「ロイヤルボックス」のママ藤堂和子さん(74)。中洲歴50年の経験から「良か人材がいて、奮起する店は生き残るったい」と博多弁で言い切る。
夜の街の文化を30年間、全国に発信
「良か店は水面下で引き抜き合戦をやっとる」
「世の中は捨てたもんじゃなか」
<金口木舌>怒りの声、祈りの声
琉球新報 2020年5月20日 06:00
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1124807.html
今年の「5・15」は物足りなかった、と今にして思う。平和行進がなかった。大会がなかった。節目の日なのに、すっと通り過ぎてしまった。それもこれも、新型コロナウイルスのせいである
▼大会には毎年、足を運ぶ。壇上にいる政党や団体代表の発言だけでなく、参加者の声を聞くためである。つぶやきやため息にも耳を傾ける。会場の怒りはどこに向いているのかが分かる
▼ひょんなことで怒りの声を聞いた。検察官の定年延長を認める検察庁法改正案を審議する15日午後の衆院内閣委員会のネット中継である。法案に反対し、国会の外に集まった人々の抗議の声が、委員会室にも響いた
▼与野党諸氏、森雅子法相はこの声を聞いたはずだ。首相官邸にいた安倍晋三首相は何を感じただろうか。政府与党は今国会での成立を見送った。怒りの声に抗しきれなかったのだろう。法案に反対するネットの声も大きかった
▼安保反対の声が国会周辺に渦巻いた1960年。安倍首相の祖父、岸信介首相は「銀座や後楽園球場はいつも通りだ。私には声なき声が聞こえる」と解釈し、安保改定を押し通した。60年後の今回は、そうはいかなかった
▼もうすぐ6月、慰霊の月が巡ってくる。例年のような戦没者追悼式は開けないが、沖縄戦犠牲者を悼み、平和を求める祈りの声を発信したい。世論を動かす力となるように。