数日前、大きなゴキブリが和室の隅でうずくまっていた…。
私が近づいても、なぜか逃げない。
どうやら弱っているらしい。
このゴキブリは、大きさやテカリ具合からみて、
2か月前に私が見逃して、住み着いたものに違いない。
夜になると、よく洗面所や自室で遭遇してギョッとさせられた。
そのたびにゴキブリは、一瞬立ち止まって長い触角をユラユラさせてから、
シュシュシュッと素早くタンスの隅や洗濯機の下に隠れたものだ。
その後、いつのまにか、子供がいっぱい生まれたようで、洗面所や浴室で何度も遭遇する。
一度に3匹のミニゴキブリと出遭ったりすると、さすがに気持ち悪いが、
ゴキブリの子供にも命があると思うとやはり殺せない…。
このミニゴキブリには、洗面台で誤って水を掛けてしまって、排水溝に流されても、駆け上ってくる逞しさがある。
親ゴキブリも、それに負けず劣らずの動きと強さがあった。
私が足をダンダンと踏み鳴らしても、逃げない度胸もあった。
それなのに、今夜の大きな親ゴキブリ?は、いつもの溌剌とした動きがまったくなく、鈍重。
新聞のチラシの上に、いとも簡単にすくえるくらいだ。
そのまま玄関まで早足で歩き、ゴキブリを庭のひいらぎの葉の上に逃がす…。
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その3日後にあたる今日の朝、電動シャッターの雨戸をあげると、
底面にペシャンコになったゴキブリの死体があるのを見つけた。
私がシャッターを下ろしたときに挟まれて、ご臨終を迎えた様子…。
音がする電動シャッターに挟まれるなんて、ゴキブリらしからぬ行為。
きっと、3日前に逃がしたあの鈍重な動きのゴキブリだったのだろう。
殺生ができないといいながら、結局は殺生してしまった罪悪感が胸に残る。
あの見事なほどの立派なゴキブリと出合ってから、約2カ月。
あんなに元気だったのに、冬を前に弱ってきて、電動シャッターによる予期せぬ死を迎えた。
一抹の寂しさを感じながらも、子孫を残すという使命を果たした親ゴキブリの末路に拍手を送る。
本日の教訓:使命を果たしたときが、終焉。