映画の中の奇妙なニッポン -2ページ目

映画の中の奇妙なニッポン

クール・ジャパンの向こう側、フール・ジャパンの世界へようこそ

1月15日にネット公開された『高い城の男』The Man in the High Castle (Season 1 Episode 1 - Pilot)を観ながら、2015年2月末発売予定の新刊のゲラをチェックしています。


『高い城の男』もけっこうキテますが、海外でつくられるドラマや映画には、いろんなカタチで「ニッポン」が登場しちゃうわけで、その姿はキョーレツだったりトホホだったり、そりゃもう困ったもんです。準備中の新刊は、そんな「ニッポン」のイカれたイメージを手当たり次第に収集した無節操な映画本。最近の「クール・ジャパン」の流れに逆行するバチ当たりな1冊になりそうです。にひひ




さて、『高い城の男』は、ヒューゴー賞を受賞したフィリップ・K・ディックのSF小説が原作です。第二次大戦で枢軸国が勝利、アメリカが日本とナチスドイツに分割統治されている「もしもの世界」が舞台です。


高い城の男2015

若いころのアシュレイ・ジャッドを思い出させる気の強そうなヒロイン(アレクサ・ダヴァロス)はサンフランシスコに住んでいますが、アメリカ西海岸は「太平洋合衆国」と呼ばれる日本統治区域になっているため、街には「厚生労働省」「居酒屋」「旅行代理店」といった日本語看板が並び、ゴールデンゲートブリッジなど、いたるところに旭日旗が飾られています。


高い城の男-フィリップKディック

「TEIKOKU STATION(帝国駅)」とか「HIROHITO AIRPORT(ヒロヒト空港)」とか、こまかいお楽しみがそこかしこに。。。


高い城の男episode1

「太平洋合衆国」にあるナチスドイツ大使館の一室。打ち合わせを終えた日本人官僚(おなじみケイリー=ヒロユキ・タガワ)が去り際に腰を曲げおじぎをすると、ドイツ大使とナチ高官は右手を突きだしたヒトラー式敬礼で応じます。


ディックの原作小説に出てくる『イナゴ身重く横たわる』は、ドラマではわかりやすくナチス敗北が記録された映画フィルムになっていて、「誰も知らない、知られちゃいけない」というこの謎のフィルムを、密かに運ぶレジスタンスたちの活動が、サスペンス風に描かれていきます。


第二話以降の展開も気になりますが、アマゾン・スタジオのストリーミング配信用ドラマシリーズって実際どうなんでしょ? エグゼクティブ・プロデューサーとして一応リドリー・スコットの名前なんかもクレジットされているので、そのうちテレビで連続放映されそうな気もしますが。。。


リスボン。


ポルトガル最大のショッピングモールコロンボ・ショッピングセンターは地下鉄コレジオ・ミリタール/ルス駅直結。ここは最上階にプライマーク(Primark) の店舗があるので、映画館よりそっちの方によくお世話になった。


プライマークは、ユニクロやH&Mよりさらに安い衣料品チェーン。"スウェットショップ"なんて告発もよく聞くが、まあ安いが一番ってことで。あまりにファストファッションすぎて、店で4ユーロの長そでTシャツとか物色してて哀しくなる時もあるけど、ヨーロッパで急に部屋着や防寒着が必要になった時など、すごく助かる。


プライマークを初めて見たのは、数年前。ロンドンのオックスフォード・ストリートの店舗が、早朝から異常に混雑していてビビったのを覚えている。まさかリスボンにもあったとは...。リスボンには、オランダやドイツなどでよく見かけるC&A もあるが、こちらはGAPぐらいの価格帯になるので...(でもプライマークなんかより長持ちするけど)。


1階の巨大スーパーマーケットCONTINENTEで買い出し後、モール内の書店へ。ハルキ・ムラカミはなぜかケン・フォレットの隣だった。



フードコートにあったLaParillaで腹ごしらえ。ビトケが5.5ユーロとひときわ安い。ぺらぺらのステーキに目玉焼きのせちゃうポルトガル庶民の定番メニュー。タイのガパオを思い出す。



一方、コロンボの次にでかいヴァスコ・ダ・ガマ・ショッピングセンターは、ターミナルのオリエンテ駅とつながっている。コロンボより若者が多くて活気あり。すぐそばをテージョ川が流れていて雰囲気もよく、半日ぐらい簡単につぶせる。



ここも1階にはスーパーCONTINENTEC&Aがあるが、そのすぐ上のフロア(写真左)がシネコンになっている。週末はデートしているカップル多数。

Centro Vasco da Gama
http://cinemas.nos.pt/Cinema.aspx?c=W9



寿司バーの看板。アニメ&アキバというイメージで"go natural"というのも無理がある。せめてサムライ、フジヤマ、カップヌードルみたいな感じにすればよかったのに...。

バンコクからアムステルダム乗り換えでリスボンに向かうKLM機内。往復で10数本の映画を観た。ろくに眠らず、目を血走らせながら。。。

ジョージ・クルーニーが監督し、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマンらが出演した『ミケランジェロ・プロジェクト』The Monuments Men。大戦中、ヒトラードイツ軍に略奪された美術品を取り戻すミッションに従事していた小部隊モニュメンツ・メンの活動を淡々と描いている。映画ファンならそそられそうな役者がそろっているが、事実に基づいているせいか、かったるいショートエピソードの羅列といった印象でしょぼい仕上がり。ハリウッドならではの「素晴らしきアメリカ」ノリにもげんなり。結局、日本でも
20世紀フォックスが劇場公開中止のお知らせ を出しオクラ入りとなった。『ザ・インタビュー』The Interview ハッキング事件で流出したメールの中で、ソニー・ピクチャーズ重役が「ジョージ・クルーニーは批評家の評価ばかり気にしている」と言っていたが、まさにそんな感じの作品。


映画ザ・インタビュー


四十路キャメロン・ディアスが初ヌードを披露している『セックステープ』Sex Tape。これも赤字予想で日本公開中止となった一品。手違いで自分たちのアクロバティックな性交動画がネットにアップされてしまったエロ夫婦のドタバタお色気コメディ。文字通りトホホなお下劣企画で、笑うより先に観てて落ち込んでしまった。ファレリー兄弟 の『メリーに首ったけ』There's Something About Mary みたいな「魅力ある下品」って難しいということがよくわかる作品。


日本では公開延期され、結局2015年2月7日の公開が決まった『ミュータント・タートルズ』Teenage Mutant Ninja Turtles。1990年代につくられた「かぶりもの着ぐるみタートルズ」の愛嬌などまったくない不気味な亀CGと、どこがおもしろいのかよくわからないセリフのかけあい。。。雪山滑落などのアクションシーンも意外に地味だし、日本ではどういう層が劇場に足を運ぶのか、そっちのほうが気になった。


『レッツ・ビー・コップス』Let's Be Cops。白人と黒人、さえない2人の仲良しダメ男が、警官の制服を着てニセポリスマンになりすまし、うさばらしをしながらついでに正義のために戦っちゃうおバカコメディ。機内のヒマツブシに最適なB級感がたまらない。でも日本で公開されることはなさそう。

ジョン・ル・カレ原作の『誰よりも狙われた男』A Most Wanted Man。すごく観たかったのに観逃していた作品だったので、機内の映画メニューにタイトルを見つけたときは喜んだが、日本語字幕もないしイヤホンから聞こえる英語音声もクリアじゃなくて、まいった。ゲイリー・オールドマンがスマイリーを演じた『裏切りのサーカス』Tinker Tailor Soldier Spy には遠く及ばないが、フィリップ・シーモア・ホフマンのしょぼくれつつも野心メラメラといった風情はグー。


『グランド・ブダペスト・ホテル』The Grand Budapest Hotel。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』The Royal Tenenbaums のウェス・アンダーソン監督の最高傑作。粋なリズムで流れるように展開する映画ゆえ、機内アナウンスに鑑賞中断されるとムッとしてしまう。旅情や冒険心をかきたてる描写も多く、海外へのヒコーキ移動のとき見るのにふさわしい作品かも。

あと、思い出すまま列挙すると。。。


シートテレビのちっこい画面でも意外に楽しめた『イントゥ・ザ・ストーム』Into the Storm。ギャレス・エドワーズの2014年版『GODZILLA ゴジラ』Godzilla もメニューに入っていたけど、逆にこっちは大画面でないとダメだと思った。


『ミッション:8ミニッツ』Source Code は『月に囚われた男』Moon の監督(デヴィッド・ボウイの息子だが、名前が出てこないのがいろんな意味で哀しい)の第二作。基本的に脳内ゲームという設定なので、どうしても切迫感に欠けてしまう。過去やり直しタイムワープものなら、やっぱり『バタフライ・エフェクト』The Butterfly Effect みたいなやつが万人ウケするんだろうね。


気にはなっていたけど、きっと『真夜中のサバナ』Midnight in the Garden of Good and Evil や『ミスティック・リバー』 Mystic River みたいな感じだろうと思って観ていなかった『チェンジリング』Changeling。独特のテンポのイーストウッド演出は、飛行機の窮屈な座席で観ても引っぱられる。やっぱり死んでいたという救いのないオチに、ポール・ハギスの『告発のとき』In the Valley of Elah を連想。疲労のたまる長距離移動中、できれば暗い映画は避けたかった。


ブライアン・シンガーが再びメガホンを取った『X-MEN:フューチャー&パスト』X-Men: Days of Future Past はシナリオに無理やり感があるものの、やっぱりおもしろく見れてしまうのがすごい。リュック・ベッソンの『ルーシー』Lucy は期待外れというか、なんじゃらほいな世界。でも悪役が台湾の韓国人マフィアという設定はちょっと気になった。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』Guardians of the Galaxy は、この世界観にすんなり入っていけるかどうかで、おっさん化がどれぐらい進んでいるか判定できそう。木のヒューマノイドとか遺伝子改造された傭兵アライグマとか言われても。。。


『オール・ユー・ニード・イズ・キル』All You Need Is Kill。展開がスピーディーって、寝不足の機内では結構しんどい。体調万全のときに見たら、それなりに盛り上がったのだろう。2014年版『ロボコップ』RoboCop もそこそこ楽しめたが、わざわざリメイク・リブートする意味がわからなかった。リブートといえば『猿の惑星:新世紀(ライジング)』Dawn of the Planet of the Apes。猿の惑星シリーズって、たいした話でもないのに、メニューにあるとついつい見ちゃう。「エイプはエイプを殺さない」というセリフで、「人間なのに人間を殺した」という『アメリカン・バイオレンス』のエド・ケンパーの言葉を思い出した。


リスボンのデパ地下映画館
ポルトガル・リスボン

スペイン系デパート・エルコルテイングレス地下にひっそりある映画館

アムステルダム。



地元の人が多い朝市マーケット。



オランダの定番、ハーリング(ニシンの酢漬け)。現地の作法に従い、しっぽをつまんで口に放りこむ。すばらしく生臭い。


オランダのWokToWalk
アムスの定番ファストフードチェーン Wok To Walk。中華というより、焼きソバ・焼きメシ専門店のノリ。バルセロナやリスボンでも支店を見かけてビビった。


観光客など一切来ない場所にもコーヒーショップ=ソフトドラッグ販売所が。店名の「KATSU」は、「勝つ」or「喝」?


散歩&つまみ食いにも飽きたので、トラムでミュージアム広場そばのコンセルトヘボウへ移動。


毎週水曜、昼12時半よりここで無料コンサートが開催される。平日なので、近所のじいちゃん&ばあちゃんが多い。開演30分ほど前になると、みんな当たり前のように押し寄せてくる。



高尚なひとときを過ごしたら、バランスをとるため、低俗な街へ。ダム広場東の飾り窓エリアにあるレッドライト・バー。運河沿いの赤線地帯は、中国人団体観光客からアラブ人冷やかし軍団まで、インターナショナルなにぎわい方をしている。


大麻マリファナ博物館
ハシシ大麻マリファナ博物館は意外に落ち着いた構え。


ガンジャ-グラス-ジョイント
グラスとかジョイントとか書いてあるけど、地元の人には当たり前すぎてどうでもいいような展示品の数々。ミュージアムで基礎学習を済ませたら、次は Baba, De Dampkring, Green House, Bulldog, Barney'sなどの有名コーヒーショップで実践演習か?

ジャパニーズラーメン店の海外進出は加速しているが、バンコクも例外ではなく、「一風堂」から「亀王」まで新店が続々オープンしている。そんな中、ここ数年間でバンコク市内の店舗数が最も増えたのが「ちゃぶ屋とんこつらぁ麺 CHABUTON」だ。



で、マーブンクロンセンターにも間口の小さな「ちゃぶとん」支店ができているのを見つけ、ふらりと寄ってズルズルやっていたら、すぐ隣のテーブルに白人の家族連れがやってきた。神経質そうな父親と疲れた感じの母親、中学生ぐらいの長男&長女の四人家族。ドイツ語で会話している。


メニュー片手に真剣な表情で議論し始めた一家は、どういう注文をすれば四人とも満足できるか、サイドディッシュも含めてオーダーの組合せを必死に考えているようだ。


(こんな目立たないラーメン屋にすぅーっと入ってきて、時間をたっぷりかけ真剣にメニューを選んでいる。最近は欧米でも日本のラーメンは人気らしいから、この家族は相当なツウに違いない……)


一家のシリアスな雰囲気に少なからぬリスペクトを感じつつ、隣席の様子をうかがっていると、やがて彼らのオーダーが確定した。


 「替え玉3つとご飯1つ。それからトッピングメニューにあるカラアゲとモヤシ」


メニューには写真も載っているし英語の説明もついている。確信犯だ。このガイジン夫婦はこれだけを注文し、食べ盛りの子供二人とシェアしてしのぐ節約作戦を発動したのである。


ラーメン屋に入って肝心のラーメンを頼まず、替え玉だけ注文するなんて目からウロコだ。というか、タイ人店員もなんで普通にそのオーダーを受け入れるんだよ! そもそも替え玉なんて、茹でてあるだけで味がないでしょーが!